校長ブログ

話し上手は聞き上手

2021.04.05 学校生活
4月5日

 学習指導要領が改定され、今や、学校では正解がない問いに対する最適解を協働して探究する活動は見慣れた光景になりました。当然、授業では、自分の意見を述べたり、グループで議論したりするなど、人前で話す機会が増えてきます。 

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 最初から人前で流暢に話せる人などいませんし、ましてや自分の言葉で、聞き手を説得できるメッセージを発するのはなかなかたいへんなことです。しかし、新学習指導要領において思考力・判断力・表現力の育成が求められている以上、言葉を使う経験を積み重ね、表現力を高めていきたいものです。

 そのためには、日頃からニュースを見る、新聞や本を読むなどして背景知識を豊かにした上で、伝えるべき内容を整理、キーワードを駆使しながら3C(Correct「正確」、Clear「明確」、Concise「簡潔」)に留意しつつ、自分の考えを伝わりやすく組み立てる習慣づけが必要です。対面であれ、オンラインであれ、利き手の集中力には限界がありますから難しい言葉や専門用語は避け、ポイントを整理し、確認・練習するなど、事前準備に工夫を凝らしたいもの。伝える力は、その人自身の姿勢を示すのと同時に、魅力の一つになるはずです。

 自ら積極的に質問することは勇気のいること。流暢でなくてもよいのです。たどたどしくてもまずは話を切り出すことによって情報を共有し、問題意識を探り、刺激を受けることがコミュニケーション力を高める土台となります。とにかく、特定の話題について言葉を交わし、一緒に考える姿勢をもつことが第一歩。まずは自己紹介から始め、自らを見つめ直すところから始めてみてはいかがでしょうか?

 話し上手は聞き上手とも言われます。現地取材のために訪れたエリアは40カ国・地域を超え、この10年、移民・難民問題にもフィールドを広げているという増田ユリヤさんは、地元の人々と時間を共にし、相手が話をしてくれるまで待つことで貴重な言葉を引き出すことができ、自然と知りたいことや自分で確かめたいことがわき上がってくるとおっしゃっています。かつて高校で教壇に立っておられたとき、「自分の常識だけで判断しない」をモットーに、生徒たちと向き合い、同時に、リポーターとして人々の声に耳を傾け、人間を知る中で「伝えたい」という思いが芽生えてきたそうです。