校長ブログ

コロナ禍の中で...

2021.04.27 学校生活
4月27

 コロナ禍は、今後、世界にどれくらい影響があるのか未知数なところがあり、社会全体に暗い影を落としています。メディアは連日連夜、医療崩壊に至るまでに感染拡大のスピードを遅らせ、感染爆発を抑えなければならないと報じています。

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 歴史をひもとけば、教科書に載るような異常事態といえば、1929年、アメリカの株価の大暴落から始まり、1930年代まで続いた世界恐慌があります。世界恐慌は20世紀最大の不況であり、世界のGDPは約15%まで減少、1930年代半ばまで一部の国は回復するものの、その影響は第二次世界大戦まで続いたと言われています。近年に目を移すと、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックと幾度となく経済危機に直面しました。

 その度ごとに人は英知を結集して混乱収束に向けて試行錯誤し、難局を克服、豊かな文明を築き上げてきたのです。その中で、これまで人類は感染症との闘いを繰り返してきました。今を生きる我々にとって最も大切なのは、事態を冷静に受け止め、人類がいかに知恵を絞って危難を乗り越える努力をしてきたかを学ぶこと。それが世界を広げる学びにつながるのです。そのためには、自らが正しく判断し、行動しなければなりません。今、世界各国がコロナと闘い、感染拡大防止に向けてどのような協力ができるか模索しています。生徒諸君にはまず、自分にできることは何か考えてもらいたいと思います。

 渋沢栄一氏は、著書『論語と算盤(そろばん)』に「自然的逆境に立った場合、天命であるから仕方がないとあきらめるなら、心は平らかなる」と綴られています。5代目にあたる渋沢健氏(コモンズ投信会長)は、社員に対して、コロナショックに対して「自然的逆境」と捉え、落胆せず、いつか収まるという「未来思考」を持った上で、「できること、できないこと、やりたいこと、やりたくないこと、の4つの座標軸でこれからの人生を整理」する必要を説き、やりたいこと、できることを増やせば、幸福な社会人になれると言及されています。

 時がくればコロナは終息するでしょう。今回のコロナ禍を契機に、これまでに学んだ知識を総動員して、新しい学びや生き方が見出せないか考えてみてほしいものです。そして、"スキマ゛時間を最大限に利用して、今、何を学ぶかというテーマをもち、本を読んでほしいと思います。若い頃の能力差は"紙一重"であり、努力の積み重ねがやがて大きな舞台に導くのです。すぐに成果が出なくても地道な勉強を継続していくと、ある日突然、伸びる瞬間に立ち合うときがきます。そういう経験を積んだ人こそ、"壁"にぶちあたっても、創意工夫によって難題を最適解に導ける"引き出し"と自信を持っており、ここ一番の決断ができるのです。それが真の実力ではないでしょうか?今はその準備期間だと考えて、"学びの自律"を確立してほしいと思います。

 歴史とは時代の証言であるのと同時に教訓の宝庫。世界に目を向ければ、多くの若者がアクションを起こしています。事件や災害の原体験を後世に残すことはたいへんなことですが、将来、人々が同じ失敗をしたり、被害を出したりしないようにするために、歴史的事実を正確に捉え、教訓となる営みを刻むことが大切ではないでしょうか?