校長ブログ

情報の取捨選択

2021.05.07 トレンド情報
5月7日

 あらゆる分野でデジタル革命が加速しています。なかでもソーシャルメディアの台頭は目覚ましいものがあります。かつて、大衆向け情報発信と言えば、新聞、ラジオ、テレビが主流でしたが、今やフェイスブックやツイッターなど、膨大なユーザーを抱えるSNSが登場し、これまで発信力を持たなかった人々が自分の思いを表明しやすくなるだけでなく、社会的影響が大きく、世論形成に直結するようになりました。

20200625-125.jpg

 しかし、さまざまな相手と直接、意見を交わす双方向コミュニケーションがとれ、国境を越えるつながりも可能になり、益々便利になる一方、情報過多による問題を引き起こしているのもまた事実。例えば、個人投資家がアメリカのオンラインによる掲示板「レディット」での呼びかけに応じ、ゲーム専門店ゲームストップ株の一斉購入に動いた「ゲームストップ事件」。同社の株を空売りしていたヘッジファンドは株価高騰に巨額の損失を被り、SNSを通じた個人の集団投資行動がファンドをも打ち負かせる事例となりました。  

 ネット上では日々、世界中の情報が更新され、知りたいことが簡単にわかるというものの、取捨選択力が不可欠。ソーシャルメディアが瞬時に世界に拡散する力は"諸刃の刃"なのです。昨年、新型コロナウイルスの感染拡大の折、根拠なき予防法や治療法などの偽情報がネット上に溢れ、世界保健機関(WHO)が警告を発したくらいです。

 予測不可能な時代だからこそ、信頼できる確かな情報を"見抜く"目を養うことが肝要です。総務省のアンケート調査(2020)によれば、新聞について「信頼できる」が68.4%にのぼり、テレビ(65.3%)、インターネット(32.4%)、雑誌(18.7%)を上回っています。また、4060歳代までは新聞を信頼するが7割を超えるのに対し、20歳代は56.9%30歳代は58.9%でおり、若年層は中高年層よりも、インターネットの情報に信頼を置く傾向が見られます。

 デジタル化が加速する中、メディアが信頼を得て社会に貢献し続けるには、環境変化に合わせて内実を精選し、発言方法を工夫することが前提ですが、その中で生徒諸君には場面に応じた適切な情報を取捨選択できる力を養っていただきたいと思います。