校長ブログ

英語論説文の速読

2021.06.07 教科研究
6月7日

「大学入学共通テスト」をはじめとする最近の大学入試問題(英語)を見ると、学校の難易度が上がるにつれ、素材がレベルアップ、分量も増加傾向にあるのがわかります。近年、グローバル化に伴う空前絶後の"英語ブーム"となり、AI教材や英語学習の様々な方法が紹介され、外国語としての英語を学ぶ者にとって喜ばしい状況となっています。しかし、よく中高生から受ける"英語の論説文(評論文)が速く読めるようになるにはどうすればよいですか?"という質問には、いつの時代も学習者の悩みは同じという印象を抱かざるを得ません。

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 速読と言えば、時間内に読むというイメージが強いのですが、「ゆっくり読んで理解できるようにならなければ速く読めるようにはなりません」と前置きした上で、「どんな英文でも左から右に読んで、無意識のうちにSVを把握し、修飾関係を正確に判断できるようになれば読むスピードは自然に速くなります。ただしそれは文レベル。

 論説文の場合、まずはパラグラフの中でトピックセンテンス(パラグラフの主題を端的に表現した一文のことで、パラグラフ第1文に書いてあることが多い)をおさえ、その具体説明や因果関係を把握し、One Paragraph One Idea(1つのパラグラフでは、筆者の主張は1つ)を読み取ることが第一歩。そして、パラグラフ同士の関係性から筆者の主張を把握することがポイント」と返答しています。(エッセイや物語文なら「ストーリーが展開する中、登場人物の行動と心情の変化、語り手の視点を追う読み方が大切」と言っています)

 また、リーディング・スキルとして、例えば、butがあればその前後が未知語であっても「逆接・対比」を類推するといった、ディスコースマーカー(文と文との論理的関係を示す接続詞や副詞[]など)を利用した読み方も「速読」には不可欠と付け加えています。さらに、英文のジャンルは何であってもスキャニング(scanning:情報検索読み)やスキミング(skimming:大意をつかむための走り読み)といった手法も設問処理の段階では効果的であると助言しています。

 いずれにせよ、「精読の習熟と音読が速読につながり、その積み重ねが直読直解に、ひいては直聴直解につながる」とまとめています。参考になれば幸いです。