校長ブログ

海外のプログラミング教育

2021.06.04 グローバル教育
6月4日

 世界各国でプログラミング教育が広がっています。英国では、2014年、初等教育で「Computing」が新設され、日本でも2020年から小学校でプログラミング教育が必履修となりました。民間でもプログラミング教育を提供する企業が増えています。プログラミング教育導入については、AIやあらゆるモノがネットにつながるIoT技術の活用が進む中、開発を担うデジタル人材が不足しているという背景があります。

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 中国で最大級のプログラミング教育を提供する深圳点猫科技のCEO(最高経営責任者)である李天馳氏は、ドラえもんが創業の原点にあり、「ドラえもんがのび太を助けるように、プログラミングで子供の成長を支えたい」とのこと。

 2015年には、416歳の子供を対象にした「コードマオ」の開発に成功。ネット上でカリキュラムを運営するだけでなく、国内では約600の教室を展開しています。学習者数は3,700万人(累計)を超え、教材などを通じて19,000以上の学校と連携、トップクラスの規模となっています。

 躍進の秘訣は、独自のプログラミング言語である「Kitten」。パソコンやスマートフォンで専用のアプリに接続し、AIのキャラクターや講師の指示に従ってゲームを作りながらプログラミングが手軽に学べるというものです。作成したゲームは「コミュニティー」と呼ばれる交流用サイトで公開され、コンテストも定期的に開催されているそうです。

 1990年代生まれの李氏が、プログラミングと出会ったのは小学校2年生の時。歴史シミュレーションゲーム「三国志」が好きで、ゲームを改良することをめざしてプログラミング学習に没頭したとのこと。大学ではソフトウエア工学を専攻、卒業後、留学先のアイルランドの首都ダブリンでプログラミング教室「CoderDojo」(コーダー道場)を見学したのが創業(2015)のきっかけだとか。

 当時は競合も少なく、2017年頃から中国でもプログラミング教育への関心が高まる中、巧みな広告戦略で知名度を高め、生徒の学習状況を記録して授業内容に反映させる取り組みで実績を重ねています。プログラミングを英語と同じようにツールのひとつと考える李氏は、すでに20カ国以上での教材作成も主導し、舞台を世界に移しつつあります。

 一方、IT大手傘下で教育関連事業を推進する「騰訊教育」(Tencent Education)は、AILAのスマートライトを発表しました。同社は、スマート教育向けのハードウエア製品の開発に向けて、出版社、ソフトやハードの開発企業、EdTech系企業と連携していく方向性を打ち出しています。

 小学生の家庭学習向けに設計されたというAILAのスタートライトには宿題アプリが内蔵されています。そこには対話だけでなく、文字情報読み上げ、自動添削、AIによる問題解説、間違いノートの自動生成などの機能が搭載され、宿題を提出するだけでなく、保護者が子供の学習の進捗状況を確認できるというメリットも組み込まれています。

 製品ディレクターによれば、コグニティブAIと教育産業は相性がよく、生徒個々の学習傾向や教師のマルチモーダルな指導法が実現可能とのこと。現在は、幼稚園年長から高校までの教育をカバーする製品開発に向かっているそうです。

 コロナ禍の中、テクノロジーと教育の融合は加速しています。EdTech業界全体が抱える最大の課題といえば、技術面というよりはむしろICT教育そのものへの理解。前述2社がサクセスロードを歩み続けられるのは、自分たちをデジタル化を支援するアシスタントとして位置づけ、ティーチャー兼ファシリテーターという教師の役割を現場に定着させたこと。教師に求められるのは発想の転換に他ならないのです。

 本校では新設のICT教育推進部、数学科、理科が連携をはかり、 AIを活用したEdTech教育を準備、アダプティブ・ラーニングを進めてくれています。