校長ブログ

日進月歩の時代

2021.06.30 トレンド情報
6月30日

 山中伸弥氏(京都大学教授)らが2007年、ヒトiPS細胞の作製に成功してから10余年。脳科学の研究は劇的に発展し、アメリカでは、iPS細胞から「人工脳」が作られる時代になりました。脳科学の権威であるクリストフ・コッホ氏は、事故や病気で脳が損傷しても人工脳で一部を置き換えられる可能性があることを示唆しています。また、ワシントン大学とカーネギーメロン大学の研究チームは、脳と機械、さらに脳と脳をつなぐブレイン・ネットワーキングを発表。脳と脳がコミュニケーションできれば、時空間や言語を超えることできるということです。これは不老への夢に近づくものの、人間と機械の境界が崩れることを意味します。当然、人工脳が体としての一部なのか、物体なのか、悪事に利用されないかなど、克服しなければならない倫理的問題も浮上します。    

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 人類の営みは、約700万年前に地球に猿人が誕生し、約200万年前に石器、約100万年前に火の使用が始まり、約20万年前にホモ・サピエンスとなり、約1万年前に農耕・牧畜文化、約3,000年前に都市国家が生まれるという緩やかな歩みを刻んできました。そして、18世紀後半には蒸気機関の発明に代表される第一次産業革命が起き、19世紀には石油や電気といったエネルギーによる第二次産業革命の中、蒸気機関車、電話、自動車等が発明されます。20世紀にはコンピューターの導入で数年単位で最新技術が入れ替わるという第三次産業革命が到来。動力飛行機、原子力発電、テレビ、インターネットなど、枚挙に暇はありません。そして、DNAの解明は21世紀におけるヒトゲノム解析、ヒトiPS細胞作製へとつながっていきます。

 テクノロジーの歴史を概観すると、インターネットが人類にサイバーという空間を作り出したのが1990年代。日進月歩のスマートフォンを見れば、30年前のレベルをはるかに上回っているのは衆目の一致するところです。人間のゲノム解読が完了したのは2003年ですが、1人分の解読コストも01年に比べると17年には2割以下になっています。近年、大阪大学が10歳の子供を想定したヒト型ロボットibuki(イブキ)を開発、ほほ笑むだけでなく、歩行するそうです。

 "第五の革新"と言われるテクノロジーのイノベーションによって、人間が人間の限界を超え、人類の歴史に新たな扉を開こうとしている今、鳥瞰的かつ複眼的視点から現状を見つめ直し、時代に即応する教育実践を模索していきたく思います。