校長ブログ

大学進学の意味

2021.07.27 大学進学研究
7月27

 1970年代以降、大学進学率は上昇し、1990年代初頭まで18歳人口の増加に伴い、私大ブームが到来しました。当然、多くの受験生が不合格になる当時の入試に対応すべく、偏差値によるグルーピングが行われ、効率よい選択方法が定着したものの、大学の序列化は進み、今日に至りました。

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 しかし、近年の大学入試改革によって、知識の詰め込みでなく、知識を活用し、協働して課題に取り組める力を評価する大学が増加、多様な入試が実施されるようになりました。結果、偏差値でなく、各自の将来像とマッチする大学を優先的に選択するのがトレンドとなり、これまでの偏差値による序列が変容する可能性が出てきました。

 「関関同立」という略語がありますが、これは1970年代、大阪にある夕陽丘予備校の白山桂三氏、「MARCH」は1960年代、旺文社の代田恭之氏によって名づけられたと言われています。その略称は長年、定着してきたものの、大学再編の波で変革期を迎えつつあります。首都圏では通例、「早慶上理」とグルーピングされますが、最近では「SMARTCH」(上智大[Sophia University]、明治大、青山学院大、立教大、東京理科大、中央大、法政大)や国際基督教大を加えて、「ISMART」(アイスマート)と分類する人もいます。

 学校は、本来、夢を育む安全で楽しい場所であり、勉学がその中心になければなりません。学校教育法第30条には、学校教育において重視すべき三要素として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」が掲げられています。当然、新学習指導要領に基づくティーチング・メソッドとして、意識的に、各教科の中で身につけていく力と教科横断的に身につけていく力を相互に関連づけていかなければなりません。

 今後、予測困難な変化の激しい社会やグローバル化が進展する社会にどのように向き合い、どのような資質・能力を育成していくべきか、また、一人一人が幸福な人生を生きるためには、どのような力を育んでいくべきかが焦点化されます。選挙権年齢が18歳に引き下げられ、生徒にとって政治や社会がより一層身近なものとなっています。中学を卒業する生徒の約98%が高校に進学する現在、連続性のある多様な学びの場において、生徒一人ひとりの発達段階に応じた十分な学びを確保しつつ、地域や社会と関わり、社会的・職業的自立に向けたコンピテンシーを身につけさせることこそが時代の要請なのです。

 本校においても、よりよい人生を送る一助として、学びに向かう力を育成し、どのように社会・世界と関わり、貢献していくかというスキルを涵養するために、「何を知っているか、何ができるか」という背景知識・技能をベースに、「知っていること・できることをどう使うか」という論理的思考力・判断力・表現力を強化し、協働的問題発見・解決能力につなげることが不可欠と考えております。そのために、″学びの選択″を導入し、生徒一人ひとりの到達度にあわせたアダプティブ・ラーニング(個別最適化学習)を推進して参ります。