校長ブログ

生命の誕生

2021.07.02 トレンド情報
7月2日

 原始太陽系で地球が誕生したのが約46億年前、海が誕生したのが約43億年前、生命が誕生したのが約40億年前と言われています。その頃、つまり、生命の誕生から約38億年前まで、地球には恐竜を全滅させる巨大いん石が頻繁に落下し、月面に巨大なクレーターがたくさん出来ました。いん石が落ちるたびに、海は煮立ち、蒸発し、火山活動も活発になりました。大気中に酸素はなく、太陽からの強い紫外線が地表に照りつける中、高温高圧や紫外線による反応が起きました。その結果、有機物が集まり、複雑な構造ができあがったのです。歴史的に見れば、光合成をする生物が出現したのが約35億年前、生命の急激な進化が始まるのが約6億年前、恐竜が登場するのが約2億年前です。

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 40億年前に誕生した生命のタイプは、人間や動物のように、有機物を摂取して二酸化炭素を放出する「従属栄養生物」と植物のように、有機物と二酸化炭素を摂取する「独立栄養生物」の2種類が存在するというのが定説でした。しかし、地球生物の共通祖先を探る研究で、海洋研究開発機構(日本)のグループが、最初に誕生した生命は、沖縄の深海底の熱水噴出域で発見した「タカイ菌」であり、それが従来の2種類の両方の能力を併せ持つ「混合栄養生物」という新しい仮説を発表しています。新たな発見の萌芽であり、好意的に受け入れられているようです。新説を検証する研究結果が待たれるところです。

 話題を物理学の分野である現代宇宙論まで拡げます。宇宙は、138億年前に超高温・高密度の状態から爆発的に生まれ、膨張しているとするビッグバン宇宙論が主流であり、それより以前は、宇宙が急膨張を起こしたという見方が有力視されています。

 宇宙が「無」から始まるとする理論を提唱したスティーブン・ホーキング博士(英)は、1970年、宇宙が無限大の密度をもつ「特異点」から始まったこと、71年、強い重力であらゆるものをのみ込むブラックホールの表面積が常に拡大すること、74年、ブラックホールがやがて蒸発して消滅することを明らかにしました。また、83年、宇宙は境界条件のない無から生まれたとする「無境界仮説」を、さらに、2006年、宇宙の状態から過去を推測する「トップダウン的宇宙論」を提案しています。

 現在、宇宙が再び加速膨張している原因と思われているダークエネルギーはじめ、解明できていない問題が山積しています。宇宙を説明するには、アインシュタインが唱えた一般相対性理論とミクロの世界を扱う量子力学を統合した「量子重力理論」が必要とされています。観測と理論の両面からの研究が待たれる中、将来、科学の道に進まれる生徒諸君には世界の常識をも覆す新たなる発見を期待したいと思います。