校長ブログ

学習者自律に向けて

2021.08.03 カリキュラム・マネジメント
8月3日

 教師の仕事には、授業、クラス、クラブ、校務分掌等があります。とりわけ、授業におけるウェイトは大きく、それが「授業がすべて」と言われる所以です。私はよく教員に「授業を楽しんでいますか」と尋ねます。同時に、「一人でも多くの生徒が楽しみにしてくれる授業をデザインしてください」ともお願いしています。勿論、学習者自律(learner autonomy)への創意工夫を期待してのことです。  

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Y先生: 授業に対する生徒の反応はよく、定期考査の平均点もよいのですが、模試の結果を見ると伸びていないのです。自分の授業では校長先生のおっしゃる"伸びの実感"にはまだまだ至っていないと思うのです。真の学力をつけるための助言をお願いします。

校長:"伸びの実感"とそれに結びつく学力アップは教壇に立つ者すべての共通テーマ。定期考査や模試は、生徒が個々の到達度を確認できるだけでなく、教師が自らの指導を振り返る最も有益な資料となるよ。抽象的だけど、多くの先輩から学んだことだけど、生徒が伸びる瞬間とは、教師がこれまでの貯金だけで授業をしていないとき、教師の学び続ける真摯な姿勢が生徒に伝わっているとき、そして、生徒が自ら楽しんで勉強しているときであり、それが「教える資格の証明」ということになるのかな。

Y先生:なるほど、すごく共感します。教科指導について、もう少し、ご指導いただけますか?

校長:教科指導で言えば、これまでの経験や知識の範囲内での仕事を繰り返すだけでは進歩は望めないし、それ以上に一人でも多くの生徒が楽しみにしてくれる授業をデザインしていけるように、積極的に自己研鑽の機会を設けることだね。大学入試改革や学習指導要領が改定されたのだから、当然、「大学入試共通テスト」などの出題傾向などにも目を通しておかなければね。OJTで言えば、公開授業には積極的に手を挙げ、同僚から助言をしてもらい、指導法やテスティングを見直すこと、Off-JTで言えば、セミナーや研究会に参加し、新情報を得ることなど、ブラッシュ・アップする方法はいくらでもあるよ。

Y先生:「引き出し」を拡げることの大切さは頭ではわかっているのですが、多忙感に苛まれ、つい同じことを繰り返すルーティーンワークに陥ってしまうのです。

校長:わかるよ。教員という仕事は、授業、クラス、クラブ、校務分掌と多忙を極め、様々な諸問題への対応も含め、「予定は未定」になることが多いものね。まずはスケジュール管理からスタートしてみたらどうかな。「引き出し」の多さは突発的な案件が発生したときに活用するもの。これは教師なら誰もが通ってきた道。我々も「働き方改革」に対応していくために校務の効率化や産学協働等を進めているところだから、まずはできるところから始めてみてはどうかな?

Y先生: はい。今のところ、OJTOff-JTも含めて、学期ごとに振り返りをしていこうと思っています。その目線での助言をお願いします。

校長:では1学期の振り返りから。先生方は皆、4月以降、生徒との人間関係を構築しつつ、各自の目標に向けて、頑張ってきたと思うんだ。この夏はデータや資料を読み返し、生徒一人ひとりの到達度をしっかり観察して、実態に応じた、タイムリーでチャレンジングな教科指導を模索すること。そして、PDCAサイクルの一環として、課題改善に向けて、2学期からの授業の進め方や学力定着の方法を″見える化″ することが大切だよ。その上で、1年間のまとめとなる学年末につなぐことが基本線となるね。また、自身の人間力を高める努力もし、日々の授業では、教科の専門性も含めて、どう社会貢献できるかという夢や希望を語れる教師になってほしいものだね。

Y先生: ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いします。