校長ブログ

小学生の読書

2021.08.06 トレンド情報
8月6日

 現在、受験を考えている小6のお母さんから読書の効果に関する質問を受けましたので、ご本人の許可を得て、そのときのやりとりを記載します。

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Aさん:読書が知識を広げるのはわかっているのですが、何かエビデンスのようなものがあるのでしょうか?

校長:小学5~6年生を対象にした「小学生の読書に関する実態調査・研究」(ベネッセコーポレーション)によれば、読書は知識と思考力の両方を伸ばし、コロナ禍における子どもたちの心の安定にも効果があるようです。

Aさん:そんなデータがあるのですか?

校長:ええ。この調査・研究は2018年からスタートしており、2018度は、読書が学力の低い児童に大きな効果があり、特に算数でその効果が大きいこと、2019年度は、幅広い読書が思考力や創造性に効果があり、読むジャンルの幅の広さが社会科の成績向上に影響していることが指摘されています。

Aさん:面白そうですね。

校長:2020年度の調査・研究では、読書が国語の知識や思考力の向上にどのような影響があるのか、また、コロナ禍における読書の効果がどのようなものであったのかについて検証するものでした。読書の量は、国語の知識と思考力のいずれにも効果があり、児童の多様な資質・能力を伸ばすだけでなく、読書量と読み方の工夫が能力の向上に関連している可能性があること、また、読書には心に安定をもたらす効果があり、コロナ禍においてより重要であることが言及されています。

Aさん:そうなんですね。ということは読書量の多い子供ほど偏差値が上がるってことですか?

校長:学力が向上するのは、漢字や文法などの知識問題だけでなく、思考力を問うような読解問題も含む分野で効果が見られるようですね。

Aさん:読書量と読み方の工夫とはどのようなことですか?

校長:これは中高生にもあてはまるのですが、読書量の多い子供ほど、物語・エッセイや説明的文章における読み方を使い分けているということです。

Aさん:読み方を使い分けている?

校長:そう。物語・エッセイなら登場人物の心情の変化を意識して読む、説明的文章なら筆者の主張に対する具体説明や因果関係を意識して読むといった具合です。読解力のある子供はそのようなことを無意識にやっているんですよ。

Aさん:なるほど。そうやっているうちに、長い文章が読めるようになり、新しいことを知り、興味のあることが増えていくのですね。

校長:そうです。その中で語彙力が強化され、読書の効果を実感していけるのです。

Aさん:よくわかります。昨年はコロナ禍で3ヵ月も休校になり、家にいる時間も長かった分、読書する時間が増えたのはよかったです。

校長:ジャンルにもよるでしょうけど、読書体験が心理的な安定につながっていることは今回の調査・研究からも言われているし、実際、その通りだと思いますよ。

Aさん:うちの子も本を多く読んでいると時間がたつのを忘れると言っていました。

校長:コロナ禍で心の健康について懸念される言説が多かったのは事実ですが、読書が楽しみを広げ、気持ちの面でも大切な存在となっていることは間違いありませんね。

Aさん:御校では全校で朝読やビブリオバトルをやっていると聞きました。それだけでなく、「学びの選択」を導入して個別最適化学習を進められていると耳にしました。実は私、卒業生なのですよ。校長先生のブログ、毎日、楽しみにしています。学校改革、頑張ってください!来年の春には娘が山手の門をくぐれるようバックアップしていきます。