校長ブログ

脱炭素社会

2021.08.10 トレンド情報
8月10日

 人類の目標の一つに、地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの実質的な排出量ゼロを実現する脱炭素社会があります。これは温室効果ガスの排出量を抑制(カーボンニュートラル)し、排出された二酸化炭素を回収することで、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするものです。

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 脱炭素技術に関する論文数の国別ランキング(日経新聞)を見ると、ほぼすべての研究テーマのうち、中国がほぼ9割を占めています。被引用数など論文の質を表す指標では米国が首位であり、あらゆるテーマで世界を上回っています。全体をみわたすと中国と米国の2強といった様相を呈しています。 

 中国の中で論文数が多いのが再生可能エネルギーの貯蔵手段として期待される電池。太陽電池全体では米国の約2倍です。リチウムイオン電池は米国の約3倍、コストの安い蓄電池として期待されるナトリウムイオン電池やカリウムイオン電池は米国の約56倍となっています。また、燃料電池や電気自動車などの論文も多く、ちなみに、米国が首位になったのは地熱発電と省エネ半導体のみです。 

 日本の論文数は、人工光合成と燃料電池車、アンモニア燃料で3位、省エネ半導体とペロブスカイト太陽電池で4位に入るなど、一部の分野では健闘しています。しかし、風力発電、水力発電、地熱発電などの再生エネルギーによる発電分野が弱くなっています。論文の質では発電分野などが世界平均を下回っています。

 中国は研究機関や大学などに米国の倍近い予算を投じ、産業力育成につなげるだけでなく、企業の脱炭素技術でも世界をリードしています。特に、電気自動車に搭載する電池については発展を続けており、本年度中国国内でコバルトを使わない電池の生産を始め、2023年度末までにドイツでも生産を始めるとのこと。また、次世代の太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池でも画期的な技術を持つ企業が現れているとのこと。米国でも二酸化炭素などから燃料となるメタンなどを作る企業が生まれ、民間による脱炭素技術の開発を支援する動きも盛んになっています。

 今、多くの日本企業は、エネルギー革命や技術革新などの外部環境の変化を乗り越え、新技術で大きな飛躍を遂げようと努力しています。生徒諸君には次のトレンドが何かを読み取る力を備えた上で、科学技術の成果を産業に結びつけ、社会に貢献できる真の実力を養成してほしいと思います。