校長ブログ

高校新課程の歴史総合②

2021.09.07 教科研究
9月7日

 学習指導要領の改訂に伴い、2022年度入学生から高校のカリキュラムが新しくなり、近現代以降の日本史と世界史を融合した「歴史総合」が必須になります。

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 世界史の未履修問題をめぐる議論から生まれたこの新科目について、教育目的や学力観のアップデートは認めつつ、問いに基づく資料読解やグループ・ディスカッションなど、活動的な学習活動が重視されている中、授業時間が足りないのではないかという識者からの指摘もあります。

 合教科・合科目の背景には、日本と他国をグローバルな視点から複眼的に見つめ直し、国際社会の中での日本が抱える正解のない諸課題について、最適解を探究するという方向性があります。  

 そのためには、生徒個々の主体的に授業参加できる環境をデザインしなければなりません。DX化が進む中、瞬時に検索できる仔細な情報ではなく、歴史的事実を背景知識とし、個別の問題解決に向けて思考し、論理的にまとめ、他者との対話をベースに自己の理解を深め、表現できる力が不可欠なのです。

 従来の歴史の勉強と言えば、かつては教科書に書いてある歴史的事実を時間軸に沿って効率的に「短期記憶」に保存するスタイルが主流でした。しかし、新学習指導要領においては、歴史教育が高度化され、必要な資料を読み込み、その解釈を吟味しながら正解のない問いに対する最適解を導くことが求められています。同時に、新しい学力観を評価できるテスティングについても検討していかなければなりません。その意味で、教科には「教え方改革」を期待したいと思います。