校長ブログ

神戸山手のグローバル教育

2021.09.11 グローバル教育
9月11

 先般、本校で実践するグローバル教育について、ジャーナリストのW氏と対談する機会がありました。今回はそのときの内容を一部紹介します。

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W氏:本日は、平井校長がお考えになるこれからのグローバル教育のあり方についてお話をお伺いしたく思います。

校長:グローバル教育といってもその捉え方やアプローチは多様ですから、本校のグローバル教育・英語教育を例にしてお話させていただきます。

W氏:よろしくお願いします。

校長:現代社会は、科学技術の進展や交通手段の発達によって移動が容易になったこと、世界市場が拡大したことなどによって、ヒト・モノ・カネの流動が活性化し、様々な分野でボーダーレス化が加速しています。これがいわゆるグローバル化と言われる所以ですね。それと共に、私たちもグローバル・シチズン、つまり、「地球市民」としての意識を共有、他者と協働しながら一人ひとりの幸福を追求しつつ、社会貢献していかなければなりません。その土台を創るというのが本校グローバル教育の考え方です。それが最終的に学院の教育ミッションを具現化することにつながります。

W氏:なるほど。具体的にどのような方法で展開されるのでしょうか?

校長:コミュニケーション・ツールとしての英語教育と異文化理解としてのグローバル教育を通じて、感性を磨き、いかに時代の要請に対応できる生徒を育成していくかということ、さらに言うと、グローバル化がもたらす諸問題に対する政策の選択肢を増やす教科横断的な探究力をもった生徒を育成するということです。

W氏:奥が深いですね。御校では、平井校長が着任されて以来、いわゆるカリキュラム・マネジメントによって組織運営が見違えるほど改善されたとお聞きしています。英語教育で言えば、バランスのとれた4技能習熟のシラバス化、研究授業、考査・模試分析会等も実施されているそうですね。また、AIをベースとしたEdTech教材による個別最適化学習、ネイティブ教員の学年配置、セブ島での語学研修、English Roomにおける英語を話す環境づくりなども積極的に行われているとか。さらに驚いたのは、校長自ら特別授業までされているということ。本当ですか?

校長:はい。率先垂範による「チーム学校」が基本姿勢ですから。英語科だけでなく、5教科には生徒が成長できたと実感できる企画を立案してもらい、取り組んでもらっています。英語科にお願いしたのは、4技能5領域をブラッシュ・アップさせ、国際社会に通用する英語力と大学受験に通用する学力をつけることだけです。

W氏:やりがいのあるテーマですね。世界がグローバル化していく中、教育の果たす役割が最も大きいと思うのですが、平井校長はグローバル化と教育の関係をどのように捉えられていますか?

校長:グローバル化は、国際協力の重要性を再認識させてくれる一方、知的・経済的競争を加速させています。その意味で、各自のポテンシャルを最大限に発揮し、社会貢献できるようになるにはあらゆる事象の基盤となる背景知識を活用して、課題を見出し、その因果関係を論理的に思考・判断、解決に向けて適切に表現するスキルを生涯にわたって磨き続けることが重要で、その土壌を創り出すことが学校教育の役割だと思っています。

W氏:なるほど。異文化理解に向けて大切なことは何だとお考えですか?

校長:「共生の精神」だと思います。今や人や情報が行き交い、自分とは異なる文化をもつ人々や自然と共存することが求められている時代です。だからこそ、異なる価値観や倫理観をもつ人々の文化の多様性を受容する寛容さを育むことが大切であると同時に、自国の文化や伝統を深く理解し、尊重する姿勢を養成することが重要ではないでしょうか?

W氏:その通りだと思います。グローバル教育と大学受験対策の関係についてはいかがですか?

校長:コミュニケーション・ツールとしての英語教育と異文化理解としてのグローバル教育によって背景知識を強化し、論理的思考力と問題解決能力をブラッシュ・アップすることは大学入試改革のコンセプトの一部と同じですし、相乗効果が期待できると思います。

W氏:御校にとってグローバル教育はどのような意味をもつとお考えですか?

校長:地球温暖化をはじめ、諸問題が深刻化する中、生徒たちには、持続可能な社会に貢献できるスキルを身につけてほしいと思っています。本校では、世界の資源に依存しなければならない日本が今、直面している問題に立ち向かっていけるような知力を与える教育を展開し、一人ひとりが本当に進みたいと思う進路実現をバックアップしていきたいと考えています。

W氏:ありがとうございました。名門復活を確信しただけでなく、私自身がとても勉強になりました。引き続き、ご指導の程、よろしくお願いします。