校長ブログ

新しい大学入試

2021.10.23 大学進学研究
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 大学入試改革は進み、これまでの「大学入試センター試験」から2021年、「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)に変わりました。今回は保護者との対話からです。

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Tさん: 今回の大学入試改革はどのような理由からなのですか?

校長:バックグランドにあるのは、国の将来に対する強い危機感。現代は予測困難な時代、情報化社会の発展と共に、少子高齢化が進む中、産業構造の転換、地方創生といった山積する課題への早期対応が急務とされています。同時に、グローバル化が加速する中、自ら問題を発見し、他者と協働して解決していく能力の育成が不可欠という視点が改革の骨子となっています。

Tさん:なるほど。主旨はわかるのですが、入試が変わるというのは 親としてとても不安なのです。どのような入試になったのですか?

校長:いわゆる学力の「3要素」である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度をバランスよく評価すること」を前提に、高校で習う基礎学力を重視、大学教育を受けるために必要な能力を有しているかどうか測ることを目的にしています。共通テストの作成方針には「センター試験における良問の蓄積を受け継ぎつつ」とあるものの、個別選抜ではより多面的な選抜方法を実施する方向性となっています。

Tさん: 共通テストになって、具体的にどのように変わったのですか?

校長:大きなところで言えば、英語ではリーディング、リスニングともに100点の比重になりました。センター試験で出題されていた発、アクセント、語句整序は廃止。リスニングは読み上げられる回数が1回だけのものもあります。

Tさん: 私が大学に入った頃とはかなり違っているのに驚きです。

校長:設問も社会生活や日常生活の中から課題を発見し、解決方法を考察したり、文章・図・資料などの複数の情報から必要な情報を組み合わせて思考・判断し、課題を解決する力を問うことを意識した問題が出題されています。

Tさん: 私立大学も予想以上に難しくなっていると聞いたのですが...

校長:国に私大の定員をしっかり管理しようとする動きがあるため、201718年度に都市部の私大は合格者数を絞り込みました。結果、人気学部を中心に難化したというわけです。  

Tさん: 私大が難化したと言われる理由がわかりました。受験生の動向はどうだったのでしょうか?

校長:難関と言われる大学が敬遠され、セーフティー・ネットとなる大学に人気が集中していますね。

Tさん: 私大の定員厳格化は続くのでしょうか?

校長:今のところ、私大の定員管理は大きく改善され、適正化を終えたと言われています。専門家筋によれば、ここ数年の絞り込みは一段落すると言われています。

Tさん: 国公立大への受験生の動向はいかがでしょうか?

校長:現役合格を意識して安全志向になるのではないでしょうか?ただし、東大、京大等の難関10国立大学、医学部医学科を考えている層はいつの時代も強気の出願だと思いますが...

Tさん: 民間英語試験の導入も廃案になるなど、なかなか方向性がまとまらないイメージがあり、保護者としてもとても不安なのですが...

校長:堅実な受験計画が求められるものの、極端な安全志向に陥ることなく、お子様一人ひとりの「夢の実現」に向けてしっかりサポートし、PDCAサイクルを回していける環境づくりを心がけてください。学校側もあらゆる方法で正確な情報をつかみ、フィードバックしていきますが、大学のHPなども確認して常にアンテナをはっておいてください。共に頑張っていきましょう!