校長ブログ

少子化克服に向けて

2021.11.17 トレンド情報
1117

 現在、超少子化に陥る基準は出生率1.5とされており、その数値を長く下回った国は回復する見込みがほとんどないと言われています。人口学者は、通例、少子化の要因を女性の社会進出と分析、男女格差を是正する点で大きな前進はあるものの、育児にかかる負担軽減が実現しない限り、安心して子育てできる環境がなくなるとしています。

DSC06220.JPG

 世界が低出生社会に向かいつつあります。2020年、韓国は出生数が過去最少の272,400人、生涯に産む子どもの推定数0.84は世界最低水準となりました。福祉国家フィンランドは出生率が1.37、タイ1.5、日本1.34という実態です。(タイは女性の大学進学率が58%で男性の41%を上回っています)1.8台を維持しているフランスは、少子化対策を「国家百年の計」とし、事実婚制度を導入するなど、子育て支援などをGDP比で日本の約2倍としています。韓国も家族の定義を見直す方針を打ち出し、事実婚カップルらも家族と認めています。

 ワシントン大の予測によれば、世界の人口は2064年の97億人をピークに減少するとのこと。その中で、2050年までに195カ国・地域のうち151が人口を維持できなくなると見込んでいます。同大のクリストファー・マレー保健指標評価研究所長は、出生率が回復しなければいずれ人類は消滅すると予言、中国は、2100年、現在の14.1億人から7.3億人、日本など23カ国の人口も半分以下になると推定しています。

 コロナ・パンデミックも拍車をかけています。2020年の日本の出生数8万人は1899年以来最少となり、米国も361万人と41年ぶりの低水準、雇用にも不安を与えています。

 歴史的に見れば、1800年、イギリスは産業革命によって経済成長を実現し、医療・衛生環境も大幅改善、人口増加が世界をリードする原動力になりました。しかし、1800年に約10億人だった世界人口も現在では78億人まで減少しています。

 人口減に伴い、過去の経済成長モデルは変容し、人口増が前提の年金や社会保障制度は転換を迫られるのは自明です。人口が減少しても持続可能な社会づくりに向けて、AIなどのデジタル技術を活用することによって労働力不足を補い、生産性を引き上げる改革が求められているのです。