校長ブログ

6次化:知恵を活かした取り組み

2021.12.03 トレンド情報
12月3日

 今、漁業の産出額が減少傾向にあるそうです。背景には資源が減っているだけでなく、消費者の魚離れもあるとか。その中で、「売れるものを創る」という発想で「6次化」につなげる努力がなされています。

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 農水省によれば、漁業の産出額は2019年は約14700億円ですが、1982年の約29600億円から見ると減少の一途。生活様式の変容に伴い、国民1人当たりの魚介類の消費量は約23キログラム(2020)、2001年度から見れば約4割減となっています。現状から考えると、資源そのものの価値を創意工夫して高めるのと同時に、さらに成長する余地があると言われる加工、直売、宿泊、レストランなどの生産関連事業を活用する以外に方法はありません。

 6次化とは、食品加工(2次産業)から流通・販売(3次産業)までをまとめて扱い、そのすべての数字を掛け合わせて名付けられたもの。現在、北海道、東北、北信越、関東、関西、四国等でも6次化率が増えています。  

 成功事例として、市町村が観光事業や漁業体験に取り組み、全体で7%増加した和歌山県が挙げられます。太地町では、昨年から網で湾内を仕切り、シーカヤックでクジラやイルカを見学できるようにするなど、観光資源化を試みています。全体の市場規模を2割成長させた徳島県は、1次産業の低迷を2次・3次で補い、水産研究所と連携して、未利用魚のレトルト食品加工や防災食品作りなどの商品づくりを行なっています。

 三重県鳥羽市は、漁協と農協が共同出資して、年間で約30万人が訪問するという地元の産物の販売場と郷土食を中心としたレストランを併設した「鳥羽マルシェ」を開業、観光客だけでなく、地域の需要も掘り起こしています。また、同市の「くざき鰒(あわび)おべん企業組合」は、船のスクリューに巻き付く海藻のアカモクを健康食品として再利用しています。高知県黒潮町では駆除したサメを活用して、犬向けのペットフードとし、駆除と収入増を両立させたビジネスを生み出しています。知恵を活かした取り組みから新たな価値を生み出されている点を学習したいものです。