校長ブログ

時代の変遷を読む

2021.12.31 トレンド情報
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 日本は、50年余りの間に、日本は高度経済成長を遂げ、バブル崩壊以降の「失われた20年」以降、幾多の歴史的変遷を辿ってきました。少子高齢化は進み、「人口減少社会」に突入、日本経済全体のマイナス成長が深刻さを増していますが、イノベーションや生産性向上に向けての政策対応が今後の課題となっています。        

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 2020年代、 75歳以上の後期高齢者が増加し、平均引退年齢である70歳を超す中小企業経営者が90万人を越える時代が到来すると言われています。日本は、かつて「環境先進国」と評されました。しかし、高齢化に伴い、2070年には2019年の人口の2/3になると推定、現在、「課題先進国」と見られており、環境・エネルギーとヘルスケアでリーダーシップを発揮することが求められています。

 海外に目を移すと、デジタル分野を中心にテクノロジーが進展しています。2010年代には、AIの世界で深層学習と呼ぶ技術が登場しました。米国では、人間と同じように、2本の腕を持ち、ボタンを押してエレベーターに乗り、荷物を運ぶ作業ができる介護用ロボットが開発されました。日常生活やオフィスの中での利用を想定した「エブリデー・ロボット」の実証実験も始まっています。中国では、AIを使って、農作物との距離を制御しながら効果的に農薬を散布させるドローンを飛ばし、種まきや農薬散布事業を展開、約33万平方キロメートルの農地で作業することに成功しています。  

 AIの普及で労働市場が変化し、一部の雇用を奪ったものの、それを上回る「知」が新たな雇用を生み出しています。マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、AIやロボットによる代替が進むと世界の労働者の約3割にあたる8億人が失職するとのこと。オックスフォード大学は、米英独のフルタイム就労者の週の労働時間は1870年と比べると67割に減ったと推計。アメリカでは組織に属さないフリーランスが 2027年には就労者の過半数を占めると予測されています。

 2020年代は量子コンピューターが地球温暖化に対して、エネルギー貯蔵や省エネなどの分野で新材料の開発に貢献すると期待されています。2030年代、人口ボーナス期を迎えるアジアでは、ビジネス・チャンスが生まれ、南西アジア、東アフリカが経済成長の中心になると見込まれています。アジアのグローバル企業は、ダイバーシティー(多様性)に富む組織であり、多国籍の人々が活躍、常に世界に目線をあてたビジネスを展開しています。日本がアジアの成長に対応した発展を遂げるためには、これまでのように、日本人が日本人のみを対象とし、均質な労働力で質の高い、コスト競争力のあるモノを売るというやり方では通用しません。視点を「ウィズ・ジャパン」から「ウィズ・アジア」に発想転換し、グローバル・スタンダードに追いつく努力が必要なのです。2040年代には、高齢者数が約4,000万人とピークを迎え、2050年代には、日本の総人口が1億人を割り、生産年齢人口が5,000万人を割ると想定されています。一方、世界の人口は増加、同時に、地球の気候変動リスクも高まり、低炭素社会に向かうとされています。

 労働の価値が転換期を迎える中、新たな産業構造への対応力と柔軟性が必要とされることは言うまでもありませんが、個人も組織も変化を予測し、学び続ける姿勢が問われているのです。