校長ブログ

AIを考える③

2022.01.21 トレンド情報
1月21

 AI 研究で第一人者と言われているジェフリー・ヒントン氏(トロント大学名誉教授)によれば、AI の進化は益々進み、将来的には人間の考えを理解し、自然な会話ができるようになるのと同時に、様々な分野で応用できる可能性があるそうです。

DSC07164.JPG

 ヒントン氏の業績は、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化(ニューラルネットワーク)し、大量のデータを学ばせるディープ・ラーニングを開発したこと。ディープ・ラーニングは人工知能による機械学習を意味し、「深層学習」と訳されています。近年の成果としては、画像認識や自然言語の理解、ロボットの進化等が挙げられます。

 現在の AI は多様な技術の組み合わせであり、画像や音声の認識レベルを高めることができても人間と同じように論理的に思考するまでには至っておらず、次なる課題は "思考する"AI です。併せて、AI を物理的なロボットというよりはむしろ人間の日常生活を支える高精度なシステムとして開発を進め、あらゆる産業において生産性を高める必要性があります。そのためには基礎研究の充実と研究者の育成が必須であり、学生が各自の好奇心に基づき、新しいアイデアを発展させられるような環境づくりが求められます。

 AI 分野ではアメリカと中国が世界をリードしていますが、理系的素養に加えてコミュニケーション・ツールとしての語学力は必須。日本の IT 企業では AI 技術者がインド人が大半というところもあり、グローバル化は加速しています。最新の研究成果が記載された専門書やテキストは大半が英語で書かれており、その理解度によって情報量に差が出てくるのは当然のことです。本校でも新しい時代を切り拓く発想力や創造力をもった生徒を育成するために、教科横断的な背景知識と英語コミュニケーション力の習熟度をさらに高める方策を展開していきたいと思います。

参考]AI の応用例として、国内では自動運転バスの実用化に向けて、様々な取り組みが進められています。バス車内を無人にする場合、遠隔で常時監視し、緊急でのブレーキやハンドルの操作ができ、乗務員がいるのと同レベルの状態を確保することが不可欠。現在、車両の内外での見守り技術の開発、事故を防ぐシステムの実現をめざした運行管理の実験等、様々な取り組みが進められているそうです。