校長ブログ

テストのあり方、校則

2022.01.13 カリキュラム・マネジメント
1月13

 定期考査の全廃、校則の見直しなど、これまでの学校の"常識"を覆すような言説が巷に溢れる昨今です。今回はその意味についてです。


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N先生:いわゆる"一夜漬け"によるテスト勉強は、本当の学びにつながらないという理由で、最近、定期考査を全廃したり、教科書やノートの持ち込み可とする学校も出てきているようです。賛否はありますが、校長先生はどのようにお考えですか?

校長:確かにそのような取り組みを行っている学校がクローズアップされている感はあるね。"十人十色"というように、学校には様々なカラーがあるし、導入する以上は現場の状況に照らしたもので説明責任を果たせることが第一条件。鳥瞰的にみて、思考力・判断力・表現力を重視する新学習指導要領を鑑み、"つめこみ"ではない "本物の力"を育むことをねらいとしているのは明らかだね。

N先生:もし定期考査のあり方を見直すとしたらどのようなやり方が考えられますか?

校長:生徒たちの到達度にもよるけど、持ち込み不可を原則としつつ、小論レベルの記述式だけに限ってノート持ち込み可とするとか... また、生徒に毎日、数ページずつノートへの自宅学習することを義務づけ、教員が点検したものだけを持ち込み可とするとか...等々、一定の条件をつけるだろうね。大切なのは学力向上に資する相乗効果。今言ったような方法なら生徒たちは普段の勉強を疎かにすることがなくなり、出題者は応用問題を増やすことができるというメリットもあり、全体のレベル・アップが期待できるよ。さらに、ノートを要領よくまとめられないと時間が足りなくなって答案が作成できなくなるから段取り力も上がるということが考えられるね。

N先生:確かにそうですね。

校長:ただ導入するにしても教えて評価する側は最初、戸惑うだろうから"一長一短"を十分に議論しながら、合意形成した上での話だけどね。

N先生:話し合いのポイントは何でしょうか?

校長:評価者はノートを見ただけでは解けない問題にするなどの工夫が必要だね。最適解を求める問題は正解が一つとは限らないから採点は大変だろうけど、教師の作問力が上がり、授業改善につながることは期待できるよ。

N先生:発展問題のクオリティを高めていくことが最大の課題ということですね。

校長:新学習指導要領が求める知識偏重に偏らない学力観を構築することはたいへんだけど、試行錯誤を繰り返しながら、生徒も保護者も教員も変わっていかなければならないと思うよ。やりがいのある仕事だね。

N先生:はい。ところで定期テストの扱いは学校ごとの判断でよいのですか?

校長:定期考査について学習指導要領に定めはなく、どう扱うかは学校の判断に任せられているよ。また、文科省は、学習評価について「学期末や学年末など事後での評価に終始し、学習改善につながっていない」ことを指摘し、「慣行として行われてきたことでも、必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと」を謳っていることにも着目しておかなければならないね。

N先生:話題は変わりますが、校則についても"ブラック化"が報じられ、人権侵害が問題視されているように感じるのですが...

校長:校則は学校現場で脈々と受け継がれてきた校内ルールだけど、校則をめぐる問いは、社会のあり方にも関わっているだけに今後、議論すべきテーマだね。

N先生:校則っていつ頃できたのですか?

校長:明治時代の「小学生徒心得」が原型とされていて、1872年の学制発布の翌年に出された「心得」には「毎朝早ク起キ顔ト手ヲ洗ヒ」「参校ハ受業時限十分前タルベシ」といった今に通じるルールが示されているよ。

N先生:校則が注目されたのはいつ頃からですか?

校長:校内暴力が社会問題化した1989年あたりから。以後、「頭髪の乱れは心の乱れ」などと言われ、厳しくなり、「丸刈り訴訟」が起きたこともあったな...

N先生:行き過ぎた感じですか?

校長:国は行き過ぎた校則の見直しを求めたけど、1990年代以降は、さらに厳しくなったと言われているよ。20056年ぐらいだったかな、ルールを厳格に適用する「ゼロトレランス」を参考にして指導に努めるよう求められたこともあったのは...2017年には「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」が発足したのは記憶に新しいところだね。いずれにせよ、学校に求められているのは、なぜそのルールが必要なのかということを常に問い直す姿勢。本校でも「対話と指導」をキーワードにさらなる改善に努め、「明るく楽しい女子高」の実現に向けて、"100人の1歩"のスピリッツで努力していこうじゃないか。

N先生:はい。頑張ります。