校長ブログ

高3卒業考査

2022.01.26 学校生活
1月26

 高3は25日から28日まで「卒業考査」です。

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 高校を卒業して生徒諸君はそれぞれの道を歩み始めるわけですが、建学の精神である「自学自習」「情操陶冶」を忘れず、学院の教育ミッションである3CCommunicationConsiderationCommitment)を完遂すべく努力し、それぞれの夢を実現させてほしいと思います。

 21世紀に入ってから日本では20名以上の方々がノーベル賞を受賞され、科学技術力の高さを世界に示しました。しかし、ここ20年、世界の中での日本の「研究力」は下降線を辿っていると言われています。

 文科省科学技術・学術政策研究所によれば、日本の論文数は198090年代前半、アメリカやイギリスにつぐ世界3位であったものの、2000年代中盤以降は9位まで順位を下げているとのこと。産業に直結するAI分野でも論文に関わった研究者数は、過去約10年で中国の約1/8、アメリカの約1/4だそうです。先端を行く米中と比べると、テクノロジー分野で遅れをとっていること必至。豊田長康氏(鈴鹿医療科学大学学長)は、各国・地域別の人口あたりの研究論文数は日本が39位であり、経済規模が日本より小さいハンガリーやポーランドなどよりも下回っていると指摘しています。

 研究論文数が産業に直結することはすでに調査・研究で明らかにされているようですが、世界が高度人材を競う中、ポスドクのような不安定な雇用環境がある限り、今後、研究職を志す若者が減り、イノベーションの担い手がいなくなってしまうかもしれません。「量子技術イノベーション戦略」にはそのような危機感が示されているものの、現実的として研究開発費は1,709億ドルで米中の約1/3。さらに、米中のように、産業や安全保障を左右するテクノロジーの基礎から応用までを鳥瞰し、主導するリーダーが見当たらないことも課題となっています。

 中国は、量子暗号の実験に向けて2016年に人工衛星「墨子号」を打ち上げましたが、その方面の研究論文数(201418年)は世界1位です。一方、アメリカは昨年末、量子技術開発を日本と連携していくことを発表し、2024年までに宇宙飛行士を月に送る計画を立てています。 

 日本企業はかつて組織力によって研究開発を軸としてきましたが、現代は「個」の発想や突破力が不可欠とされています。アメリカでは優れた研究論文と著者のリストが公表されますが、首位アメリカの約2,700名に対し、日本は約100名。今後、日本がグローバル社会の中で存在感を増し、復権していくためには、若手研究者育成のあり方を精査することが必須なのです。