校長ブログ

新コース立ち上げ特集③-イマ-ジョン教育

2022.03.16 グローバル教育
3月16

 2023年度新設の「グローバル選抜探究コース」(Gコース)における英語教育は英語"を"学ぶのではなく、英語"で"学ぶが基本。その方法の一つがイマージョン教育なのです。 

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 immersion(イマージョン)とは「浸すこと」の意味。つまり、目標とする言語に浸りきった環境におくことです。Gコースでは、英語の「海」を泳ぎ、自然体で英語コミュニケーション・ツールをマスターしていくことを目途とし、音楽、家庭科、美術、理数系教科などの科目にも英語を取り入れた学習を展開していきます。

 イマージョン教育の歴史は、1960年代 のカナダのフランス語圏であるケベック州に始まります。英語を母国語とする保護者と同じレベルのフランス語を習得させ、互いの文化や理解を深めることがねらいでした。その後、カナダやアメリカだけでなく、オーストラリア、韓国、フィンランド、南アフリカ、日本など、多くの国に広がりを見せています。

 イマ-ジョン教育は、一方向イマージョン(One-Way Immersion)と 双方向イマージョン(Two-Way/Dual Immersion)に分類されます。後者はバイリンガル・イマージョン(Bilingual Immersion)とも言われ、アメリカで広まりました。これは、日本語を母語とする生徒と英語を母語とする生徒がある一定数いるクラスで、日本語と英語を織り交ぜた授業を行い、クラス全員が2つの言語に堪能になることを目標にしています。米国の研究では、効果的な学習法であり、英語を学ぶ子供の長期的な成果を促進することが明らかにされています。 

 また、英語に触れる時間の長さによって、完全イマージョン (Full, total Immersion)と部分イマージョン(Partial Immersion)としてもグルーピングされています。前者が初めて習う外国語を習得するために、授業のほぼすべてが目標言語によって行われるのに対し、 後者は授業の大半が目標言語で行われるものの、必要に応じて言語習得のための時間も割くというもの。本校では、各学年とも週に10時間前後の英語の授業を確保しており、その中で、両方を織り交ぜた授業を展開していきます。

 イマージョンの効果として、目標言語でより多くの授業を行った方がその言語能力における達成を高めると母語学習が支援され、その習得が進めば、学業達成度は高まるという研究成果があります。移民の多いカナダ、アメリカ、オーストラリアでは、外国語を学ぶのではなく、英語以外の母語を維持するために継承言語教育としてイマージョンを選ぶケースも多く見られます。海外の日本人学校では、小学校から英語教育を行っていますが、図工、体育、音楽などの科目を英語で教える部分イマージョンなども取り入れています。

 イマージョン教育は、日常生活での使用や母語の習得環境が十分整っているという条件があり、その上で第二言語の習得をめざし、母語の習得に支障が生じるほど、母語の使用時間が極端に短くならないことが前提となっていますが、Gコースでは、本校独自のイマージョン教育を構築しようとしているのです。