校長ブログ

1学期始業式

2022.04.09 学校生活
4月9日

 8日、1学期の始業式を行いました。2022年度のスタートです。生徒諸君の目線はそれぞれの″あるべき姿″をしっかりと見据えていました。期待しています。

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2022年度の新学期を迎えて

 いよいよ2022年度がスタートします。今春、卒業した生徒たちの進路の特記事項として、神戸大学の推薦入試合格はじめ、関関同立、産近甲龍といった有名私大への合格者総数が前年を上回りました。関西国際大学への入学者数も増えました。クラブ活動では陸上部が全国レベルで大活躍、過去最高の記録ラッシュとなりました。また、吹奏楽部やギターマンドリン部も堂々たる結果を残してくれました。データサイエンス部も発足しました。生徒たちは夢の実現に向けて、夫々のフィールドで羽ばたいてくれています。喜ばしい限りです。今年から卓球部、広報部が発足します。

 2020年、濱名山手学院は、幼保、中高、専門学校、大学、大学院を擁する一大総合学園となり、現在、さらなる一歩を踏み出そうとしています。100周年を目前に控え、中高は2021年度よりドラスティックな学校改革を行っております。テーマは「変わる!山手」。グローバル化、DX化が進む昨今、世界中が大きな転換期を迎えようとしています。その中で、教師の役割と言えば、未来を生きる子どもたちに何が残せるかを問い続け、夢を語り、希望に満ちた平和な未来社会での共生を呼びかけ、明るく、前向きなリーダーを育成していくこと。それが「未来型リーダーシップ」となるのです。そして、"生徒ファースト"を基調とし、これまでの強みである面倒見のよさを「チーム濱名山手」として結集、"開かれた"学校創りと「進路満足度100%」をめざし、個別最適化を図り、ミッションであるCommunicationConsiderationCommitmentの「3C」に直結させます。その上で、グローバル的視点に立ち、積極的な社会・他者への貢献に喜びを感じる心優しい女性を育成します。 

 今、社会は大きく変わり、それに対応できる実力を磨かなければなりません。2021年から導入された「大学入学共通テスト」や新学習指導要領では、知識だけに偏らず、自ら問いを立て、学び続けることが思考力・表現力につながり、直面する世界規模の課題解決に向けて行動する判断力につながるという方向性が示されています。正解のないテーマに対し、最適解・納得解を導くための教科横断的アプローチは容易なことではありません。環境、エネルギー、貧困などの難題が山積する中、めざす学力も変化しており、教科の枠組みを超えた真の実力が問われているのが現状だからこそ、"なりたい自分"にこだわって挑戦し続け、必要とされる学びを深めながら本質を見極める着眼点を養ってほしいと思います。 

 平常授業では各教科の基礎・基本を身につけ、小テストや定期考査では到達度をしっかり確認してPDCAサイクルを定着させましょう。クラブ活動は強制しませんが、"奨励"します。積極的な参加を期待します。ここで少し、建学の精神の一つである「自学自習」について考えてみます。これは、新学習指導要領の「学ぶことに興味や関心を持ち、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」にあたります。今日はアメリカの教育心理学者であるバリー・ジマーマンを中心とする人たちが唱える「自己調整学習」という言葉を使って説明します。

 自己調整学習の考え方は、勉強ができる生徒というのは生まれながら特別な能力が身についているとか、環境によって出来・不出来が決まるというのではなく、生徒一人ひとりが前向きな取り組みをして、いかに目標を達成しようとしたかによって決まるというものです。当たり前のことなのですが、いざ実行に移すとなるとなかなかできることではありません。  

 自己調整学習にとって重要なのがメタ認知、動機づけ、行動だと言われています。メタ認知とは、目標に向けた計画を立て、各自で学びの状況を振り返り、到達度によって学習法を修正していくこと。動機づけとは勉強のやり方を工夫することで学ぶ意欲を高めること。行動とは、学習に適した環境を選び、必要な情報や援助を求めるなど、目的をもった具体的な取り組みをすることを意味します。 

 自己調整がうまくいくかどうかは本人次第というものの、それが成功するか否かは「やればできる」という、自分を突き動かすモチベーションにかかっています。同時に、勉強を進める過程において、調子のよい時は別として、やる気が出ない時やスランプの時でも途中で投げ出さず、自分を励まし、地道な努力を重ねていく柔軟な姿勢が求められます。 

 本校では、中学全体、高校全体の学期ごとの大テーマと各学年の学期ごとの小テーマを立てています。各クラスは学年の小テーマに基づき、クラスの目標を設定していただくことになります。中学・高校それぞれの大テーマについて触れておきます。  

 中学全体の1学期の大テーマは、「"お蔭様で"という感謝の気持ちを忘れず、常に自分を律し、平凡なことをやり続ける姿勢を養う」です。高校全体の1学期の大テーマは、「個別最適学習(アダプティブ・ラーニング)への習熟を通じて、得意分野を最大限に伸ばし、苦手分野を積み残さない取り組みを実践する」です。 
 
 中2は、"中だるみ"になりがちな時期ですから、PDCAサイクルを定着させましょう。担任の先生、後でPDCAの解説をお願いします。また、得意教科を伸ばし、苦手科目の積み残しを解消する習慣をつけてください。  
 中3は、最高学年を意識して、後輩のお手本となる行動をしてください。また、中学3年間の学習内容を完全にマスターする努力をすること。そして、なりたい自分になるための情報を積極的に集めていただくことをお願いします。
 
 高2、高3は、なりたい自分になるための進路研究を進め、卒業後の自分をイメージしておきましょう。中だるみに注意し、日頃の学習内容は完全にマスターできるようPDCAサイクルを精査することは言うまでもありません。「大学入学共通テスト」をはじめとする大学入試は、高1~2の教科書内容から大半が出題されます。大切なのは、積み残しをしないこと、苦手教科をつくらないことです。平常授業は基礎・基本の定着、受験対策は予備校講師による「山手アドバンスゼミ」等を利用してください。   

 生徒諸君には、日々の暮らしの中で、今、何を学ぶかというテーマをもってほしいと思います。社会に出てからも同じことが言えます。若い頃の能力差は紙一重であり、努力の積み重ねがやがて大きな舞台に導くのです。すぐに成果が出なくても地道な勉強を継続していくと、ある日突然、伸びる瞬間に立ち合うときがきます。そういう経験を積んだ人こそ、壁にぶちあたっても、創意工夫によって難題を最適解に導ける"引き出し"と自信を持っており、ここ一番の決断ができるのです。今はその準備期間だと考えて、"学びの自律"を確立してほしいと思います。 

 各クラス目標は担任の先生方、教科目標は各教科の先生方に作成していただき、教室に掲示してもらいますから、一度、確認しておいてください。各自がそれぞれの夢に向かって飛躍されることを期待しています。