校長ブログ

新コース立ち上げ特集⑨ーマジカルナンバー7±2

2022.05.07 グローバル教育
5月7

 米国ハーバード大学の心理学者であるジョージ・ミラー氏(George Armitage Miller)が人の短期記憶に保持できる語数は7±2The Magical number seven, plus or minus two)と発表したのは1956年。これは、人が瞬間的に記憶に保持できる語数が7プラスマイナス2、つまり、5〜9であることを意味します。以降、「ミラーの法則」とか「マジカルナンバー7±2」と呼ばれ、認知心理学の研究の先駆けとなりました。

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 短期記憶とは、脳の中に情報を一時的に保持できる記憶のことですが、情報量の大きさには限界があります。ミラー氏は、保持する情報の単位を意味のかたまりとして、チャンク(chunk)と呼び、短期記憶で保持できるチャンクは「7±2」としたのです。2001年には、米国ミズーリ大学の心理学者ネルソン・コーワン氏(Nelson Cowan)が「マジカルナンバー4」を発表、人が短期記憶に保持できる情報の数は4±1、つまり35としました。

 英語の授業でよく「チャンク」して読んだり、聴いたりする練習がなされますが、これは短期記憶を長期記憶に変えるためのトレーニング。カナダのウォータールー大学の研究によると、授業を受けた後、何も復習しないと学んだことの50%〜80%が失われてしまうそうです。いずれにせよ、同じ情報を何度も脳に入れること、つまり、復習を繰り返すことが定着の秘訣ということになるのです。学習習慣の定着は人によって温度差がありますが、EdTech教材を活用して、つまづいている単元に戻るなどして、各自で工夫し、自己調整学習につなげてほしいものです。

 短期記憶は、脳の中に情報を短期的に保持しておく能力であるのに対して、長期記憶は情報を長期的に記憶することです。メカニズムとしては、短期記憶を介して長期記憶が形成される仕組みとなっており、短期記憶をいかに活用して長期記憶にするかがポイントです。

 長期記憶といってもいろいろな種類があります。例えば、英単語、漢字、年号、数学の公式などの暗記は「意味記憶」といい、繰り返さないと忘れやすいという特徴があります。また、実際に自分が行った経験と結び付けて覚える記憶のことを「エピソード記憶」と言います。これは意味記憶よりも忘れにくいという特徴があります。さらに、自転車の乗り方、箸の持ち方など、身体に覚え込ませる記憶のことを「手続き記憶」と言い、これが最も忘れにくいと言われています。勉強のやり方は人それぞれ。本校では、個別最適化を通じて、自己調整学習への道を確かなものにします。