校長ブログ

高校で学ぶ目的

2022.05.20 カリキュラム・マネジメント
5月20

 中央教育審議会は、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」と題する教育改革案を発表しました。そこには、オンライン教育や個別最適化学習といった現代的なテーマが述べられているのと同時に、「日本型学校教育」の継承・発展が言及されています。

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「教育困難校」の調査など、現在の高校教育における諸問題を研究している児美川孝一郎氏(法政大学教授)は、高校がスクール・ミッションと3つのポリシー(卒業認定、教育課程、入学者受け入れ)を定めることについて理念的かつ抽象的と評されています。この方法は大学改革で用いられたものの、改革が進まなかったとのこと。また、普通科における「学際科学的な学びに関する学科」「地域社会の課題解決に向けた学びに関する学科」などの新設については、制度変更自体、教育再生実行会議が普通科への「類型」導入に引きずられただけに見えるとも述べられています。

 同氏は、高校生の多くが、学ぶ意味や意義を実感しておらず、そこに強くコミットし、真剣に向き合う意識が欠けていること、また、高校に通う目的が大学進学、クラブ活動、友人関係などにあり、高校は通過点にすぎず、これが学校満足度や学習意欲の低さにつながっていることなどを指摘しています。その上で、高校が将来の社会生活に向けて、各自の強みや進みたい方向を見つけ、自立につながる場でなければならないとしています。

 さらに、共有すべき課題として、市民性の育成、並びに、国語や数学などの教科内容と社会とのつながりを明確にし、総合的な探究の時間、特別活動がキャリア探究の場となるような学びの空間を創り上げることを挙げ、現状の制度運営を柔軟化させ、「やり直し」を積極的に認めることを推奨されています。

 本年度から高校も新課程に入りました。取り組むべきテーマを明確にした上で、生徒一人ひとりが「何ができるようになったのか」また「どのように成長したか」を実感できる教育実践を展開していかなければならないと感じています。