校長ブログ

他者から学ぶ突破力

2022.06.14 学校生活
6月14

 東大生である西岡壱誠さんは、『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく東大思考』をはじめ、多くの本を出版されています。現在、ご自身の経験に基づき、6つの高校で思考法や勉強法を教え、ユーチューブチャンネルでは「スマホ学園」を運営。著書や動画投稿サイトには独自の発想法だけでなく、「限界を決めない」「人は変われる」など、元気をいただくエールも満載です。

IMG_4133.JPG

 西岡さんは、中高時代、私立の一貫校に通われていました。中1~2の時は一日56時間ゲームに没頭し、サッカー部に所属したものの途中で挫折。勉強に身が入らず、担任の先生からは勉強に対するモチベーションが欠けており、このままでは高校に上がれないと言われる始末でした。

 また、物事に対する取り組みも中途半端であり、できない線を決めてかかるところがあるため、それを超える努力が必要というアドバイスももらっていました。本人によれば、頑張った分だけ結果が出る大学進学の道を選び、目標を東大にして頑張ります。生徒会長も経験し、自分の立ち位置を変えて初めて気持ちに変化が生じたことを実感したそうです。前向きに取り組む姿勢は素晴らしいものです。

 受験では、大学入試センター試験(現大学入学共通テスト)はクリアしますが、2次試験で失敗。気を取り直して再度、チャレンジするもなかなか思うようにいきません。そこで、東大に合格した友だちのノートを見せてもらい、自分のやり方が独りよがりであることに気づき、謙虚にならなければならないと思ったと述懐。PDCAサイクルを回し、成長されているのがわかります。

 2年後、見事、東大に合格。通っていた高校から初の東大合格者輩出の快挙を果たします。大学では地方創生のゼミに入り、勉強会やインターンシップに積極的に参加され、様々な価値観をもつ人たちと交流を深められる日々。世界観を変えることができたのは受験を通じて自分の殻を破れたからだと回顧されています。

 本を執筆し始めたきっかけは高校の恩師の勧めとそれまでの学習体験を通じて、自分にはできないと思っている人に夢と希望を与えたいと思ったから。素晴らしいことです。執筆段階では、記述式論文の勉強が役に立ち、ベストセラーになる著作につながったとのこと。現在は「カルペ・ディエム」という会社を設立され、「自ら限界を決めて立ち止まっている人がいれば、自分で突破できるように支援すること」を目的に、学校教育に貢献していく夢があると語られています。ラテン語である社名の意味は「その日を摘め、今を生きる」であり、古代ローマの詩人ホラティウスの一節からの引用です。求められている教育のあり方を具現化した好個の事例です。