校長ブログ

走ること=脳の活性化

2022.08.06 トレンド情報
8月6日

 運動し、汗をかくと頭がすっきりし、よいアイデアが浮かんだり、物事がうまくいったりした経験は誰にでもあるはずです。運動生化学を専門にされている征矢英昭氏(筑波大学教授)によれば、これは脳と関係しており、運動が認知機能を高めるそうです。

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 ランニングは人間にとって「本源的、エッセンシャルな運動」と語る同氏は、ややきついと感じるランニング(心拍数140程度、最高酸素摂取量50%)をすると、脳の前頭前野が広範囲で血流変化し、結果、実行・判断力が高まり、気分がよくなると主張されています。

 前頭前野は、認知機能をつかさどり、記憶、思考、判断、感情のコントロール、行動等の役割を担うところ。機能が低下するとうつ病や認知症になることもあるのです。

 ランニングが脳にどのような影響を及ぼすかという研究において、「二次元気分尺度」という手法で測定すると、「落ち着いた」「イキイキした」などの感情を表す質問に対して、ランニングをすると気持ちが好転する、心地よい気分になるという割合が増えたそうです。 

 気分を担う場所である前頭前野には、広範囲の活動によって認知機能を高め、気分をよくしてくれる働きがあるとのこと。つまり、運動が筋肉を強化し、脳の神経回路を活性化させてくれるというわけです。体調が悪いと気分もすぐれないように、気分で脳がつくられ、体もそれを支えていると言い換えることができます。

 体力が向上すると、速度は同じでも効率が上がります。そうすると、心拍数が低くなり、少ないエネルギーで運動できるようになります。これと同じことが頭の中でも起こり、ランニングの積み重ねが脳を鍛え、認知機能を向上させるという相乗効果を生み出すのです。

 人間は年齢を重ねるにつれて、脳が萎縮するため、認知機能は低下します。しかし、残った神経細胞がそれを補い合うからこそ認知症を防止するのです。軽い運動でも脳は変わり、認知機能を促進すると言われています。征矢氏の研究では、ヨガや太極拳など、わずかな時間の軽い運動でも記憶をつかさどる海馬が刺激され、記憶力が高まることが証明されています。

 持久力、認知力、抗ストレスは、人が活発に生きていくためには不可欠ですが、運動がそれらを効果的に高めてくれるのです。適度な運動が健康にはよいのです。