校長ブログ

大学でのオンライン授業

2022.08.10 大学進学研究
8月10日 

 グローバル化が進み、多くの大学が海外から優秀な教員や学生を呼び込み、国際通用性を高める教育プログラムを実践されようとする中、文科省はオンライン授業の単位の上限緩和の方向性を打ち出しています。

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 骨子案では、大学が学部・学科単位で申請し、授業評価する仕組みと先進性が認められれば、オンラインによる全単位取得も可能になるというもの。現在、卒業要件となる124単位のうち、オンライン授業で取得できるのは60単位までですが、文科省は制度改正を進め、2023年度に上限緩和をめざしています。

 認可されれば、オンライン授業や海外の学生が現地から授業に参加する機会を増えるだけでなく、国内にいる学生も授業に参加しやすくなります。しかし、その成否は、同期・非同期オンライン学修の仕組みづくりを踏まえた各大学の創意工夫に他なりません。

 海外の大学では、コロナ禍においてオンラインによる教育プログラムを展開、優秀な学生を呼び込もうとしています。ヒューストン大(米)などは留学生が母国で授業を受けられる講座を開講しています。日本の大学の場合、その前提となるのが英語による授業ですが、現状から見るとまだまだ課題山積です。

 欧州国際教育協会(EAIE)によれば、欧州19カ国(イギリスを除く)の大学において、約3,000(2017)あった英語による学士課程プログラムは8年で50倍になったとのこと。しかし、日本で専門科目を英語で教えられる大学には限りがあります。文科省によると、学部段階で英語による授業を導入したのは全体の約4割にあたる307大学(2019)です。

 コロナ禍でのオンライン授業では、デジタル化に対応した設備、つまり、通信環境が課題でした。オンラインや放送による授業は、通信制大学と比較すると、広い校舎面積や多くの教員数が求められ、よりコストがかかるという問題があります。東京大の大学経営・政策研究センターの調査(2021)では、小規模な大学では設備面の制約から双方向型のオンライン授業の導入に遅れがみられたことが指摘されています。