校長ブログ

共通テスト12月実施論

2022.09.28 大学進学研究
9月28

 1点刻み、知識偏重と言われる日本の大学入試が転換期を向かえようとしています。改革の方向性について、日本私立大学連盟の会長を務める田中愛治氏(早稲田大総長)は、1月に実施される大学入学共通テストを12月に前倒しして、私立大が利用しやすくすべきだと提言されています。  

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 同氏は、現在の大学の課題の一つとして、デジタル化への対応を挙げ、その要因を文系と理系に分けているからとし、理系は行動に対する想像力が弱く、文系は科学技術の進歩に対する理解力が足りないと言及されています。

 そして、早稲田大・政治経済学部の入試で数学を必須にした背景として、国立大では文系なら理系科目、理系なら文系科目の勉強が疎かになる、私立なら皆無に等しいことを指摘しています。  

 その上で、入試で文系学部が理系科目、理系学部が文系科目を作問する負担を考えれば、大学入学共通テストを利用して基礎学力を測り、2次となる個別試験で各大学が求める学生を選抜するのがよいとされています。

 しかし、そのためには、1月実施で私大で利用できないのは、志望者の成績が届くのが27日あたりであるため、時期が早い関西の大学が終わっていること、関東でも大半が2月初旬からのスタートになることを考えれば、11月下旬、若しくは12月に実施すれば、結果は1月半ばに出るので、私大も入試として使えるというもの。また、大学入学共通テストを使えば、どの科目も活用できるだけでなく、文理融合にも役に立つと述べられています。

 海外に目を向けると、例えば、米国の大学の場合、受験生はSAT(大学進学適性試験)を受験し、そこで基礎学力を測り、その上で、生徒個々の特性を学習履歴や活動実績などで判断して合否を決めるシステムとなっています。そこが日本の「点数輪切り」の日本のシステムとは違うところです。

 今回の大学入試改革はそのような世界基準の大学入試の制度設計も視野に入れているはず。学校行事との関係で高校の授業が終わらないなど、現実的にはクリアしなければならない問題がありますから実現するかどうかは未知数ですが、議論していくべき内容の一つであることは疑う余地のないところです。