校長ブログ

学習者自律に向けて

2022.09.15 カリキュラム・マネジメント
9日15日

 メタ認知は自分の行動をモニタリングすることで高められると言われています。どんな学習においても自分をしっかり観察できていればメタ認知を高められるはずです。そのためには「やる気」が必要。やる気とは何かを達成したいという強い思いのことなのでしょうが、心理学では、認知スタイル、つまり、ものの考え方によって実際、頑張れるかどうかが決まると見なされています。

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 テストでうまくいかなければ何がいけなかったのか、例えば、授業の積み残しを解消できなかった、テスト勉強を怠ったなど、ふつうは原因を考えるところからスタートします。そして、それが明確になれば、教師はメタ認知を持った学習者、即ち、学習者自律(learner autonomy)に向けて、スモールステップを積み重ね、自己効力感を得られる仕組みを作れるようにファシリテートしていくのです。

 P.Benson(2001)は、学習管理、認知プロセス、学習内容というレベルにおいて自分の学習をコントロールできるようになってはじめて学習者自律が可能になると述べています。その意味で、自己の思考、感情、行動をコントロールする自己調整(self-regulation)が不可欠なのです。

 勉強のやり方も創意工夫が必要。例えば、英語の語彙で言えば、語呂合わせ、コロケーションやシチュエーションでのグループ化、接頭辞、接尾辞を利用した語源学習など、やり方は様々ですが、自分にあったものを見つけ出すことが肝要です。ちなみに、語源学習は楽しみながら覚えられるだけでなく、未知語の意味推測が可能になるという利点もあります。

 動機付けについては、これまで様々な学習法略に関する研究が試みられてきました。しかし、人によってモチベーションも取り組み方も異なる以上、普遍的なものはありません。学習期間が長くなればなるほど持続性が低下するのは自明ですから、自己肯定感や達成感を保てる工夫が必要なのです。

 英語ひとつとっても、学びたいという内面に湧き起こった興味・関心・意欲を示す内発的動機づけとコミュニケーションがとれるようになる、資格をとる、偏差値が上がるといった外発的動機付けをバランスよく組み合わせた指導が求められるのです。