校長ブログ

新コース立ち上げ特集㉔ーアクション・リサーチ

2022.09.30 グローバル教育
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 アクション・リサーチ(action research)とは、社会心理学者 K.レビンが提唱したもので、社会のリアルな問題のメカニズムを研究者と当事者が解明し、改善を試みる取り組みのこと。様々な分野で応用されています。英語教育の場合、教師が自らの成長に向けて、なすべき行動を計画して実行、その結果を観察して、内省(reflection)し、次につなげるという小規模なリサーチを意味します。

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 アクション・リサーチにある相対的なテーマとしては、自分が行なった実践を生徒はどう思っているかを検証して指導法を改善する、モチベーションにつながる学習方法とは何かを探究する、学習者にとってさらに魅力的なシラバスにする、指導に関するビリーフと実践との関係、つまり、学習者主体・教師主体のバランスはどうすべきかを考察するなど、実に多様な様相を呈しています。

 具体的なデータ収集方法としては、クラス観察、インタビュー、アンケート、録画授業、活動記録、テストの得点などが想定されますが、大切なのは、何を改善したいのかという目的を明確にした上で、柔軟に一次資料を集めること。そして、妥当性・信頼性・客観性を高めるために、複数の調査者・データ・手法によるtriangulationという方法が推奨されています。

 プロセスとしては、計画 ➡️ 行動 ➡️ 観察 ➡️ 内省のサイクル、つまり、PDCAを回すことが基本。リーディング指導を例にすれば、音読、サイト・トランスレーション、スキャニング、スキミング、多読など、数多くのアプローチがありますが、生徒、教材、活動の数だけバリエーションが生まれます。

 計画は、これまで効果が出なかった指導法を事前調査し、先行研究をひもとき、仮説を立て、現状を改善するためのストラテジーを組み立てるところからがスタート。行動は、自分の取り組みがどのようにリーディングに影響しているか体系的にデータを集め、効果の有無と理由を観察します。内省は、目標やテキストの適切さ、生徒の反応、その指導法のリーディングへの効果を様々な角度から考察し、客観的に自己評価、次につなげるといった具合です。

 特性としては、教師は自分自身が実践者であると同時に、研究者であるという意識が前提。つまり、授業改善やクラス運営を向上させることをねらいとしているため、自らが調査への参加者であるという気持ちが重視されるのです。

 アクション・リサーチとは、文字通り、教師が具体的な行動を起こし、記録したものを体系化、内省を繰り返し、自己の資質向上に努めること。ただし、これは理論の構築や成果の一般化をめざすものではありません。あくまでも教員一人ひとりの資質向上に主眼を置いたもの取り組みであるので、実施の手続きやデータ分析が必ずしも厳密さを求めるものではなく、自己研修の色合いが強いものとなっています。