校長ブログ

カーボンニュートラルポート

2022.11.14 トレンド情報
11月14日

 神戸は今年度末、播磨は来年の夏を目処に脱炭素化に向けた「カーボンニュートラルポート計画」を始動していくそうです。これはCO2の排出量が多い発電所や鉄鋼・化学メーカーが立地する港湾エリアの脱炭素化を目指す計画。具体的には、姫路港のある播磨臨海地域と神戸港周辺で、温暖化ガスの排出実質ゼロをめざすというものです。

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 この地域は、産業が発達し、優位性が高い立地であり、最先端をいく水素活用が進められています。兵庫県は、姫路市から加古川市にかけて神戸製鋼所、日本製鉄、川崎重工業、水岩谷産業などの有名企業に加え、国土交通省近畿地方整備局、姫路市などで組織した「播磨臨海地域カーボンニュートラルポート推進協議会」を立ち上げています。脱炭素化に向けて、自治体や臨海部に立地する企業と連携し、水素やアンモニアを燃料として使ったり、クレーンなどの機械を水素燃料電池化したりすることを推し進めようとしています。

 例えば、姫路港は、液化天然ガスの貯蔵・発電基地が立地しており、水素を燃料として使う際、これまで蓄積した技術や設備を活用することができます。大型タンカーも使うことができるので、石炭の代わりとなる水素還元製鉄での大規模な需要も見込まれています。企業で言えば、姫路市に水素ステーションを開業した岩国産業、水素の製造から発電までを検証する「高砂水素パーク」を稼働する予定の三菱重工業などがあります。

 神戸市は脱炭素化に向けて、ポートアイランドに大規模な水素ステーションを整備し、近い将来、コンテナターミナルへの供給拠点にするという方向性をもっています。神戸港周辺では、今年、技術研究組合が液化水素をオーストラリアから神戸空港島内に運ぶ実験を行い、水素を燃料に発電し、サプライチェーン(はこぶ+ためる+つかう)が可能にしています。

 大阪港と神戸港や姫路港で水素やアンモニアを輸入・貯蔵できれば、周辺港への供給拠点になる可能性も出てきます。兵庫県には水素の運搬や貯蔵に使うパイプライン、タンクの製造に欠かせない金属・ゴム加工を得意とする事業者も多く、さらなる進展が見込まれています。環境問題が深刻化する中、脱炭素化に向けた次世代エネルギーの環境整備や機械の電動化などを通じた努力が続けられているのです。