校長ブログ

現実・仮想空間の融合

2022.11.29 トレンド情報
11月29日

 今や、ロボットや自動運転車が行き交う未来都市が現実的なものとなり、現実ー仮想空間が一つになろうとしています。

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 豊田啓介氏(東京大学特任教授)は、未来都市に必要な新技術を提唱し、2025年の大阪・関西万博での実現を目指しています。それが人間とロボットのコミュニケーションを支えるコモングラウンド 。コンピューターの中に構築されたメタバースは3次元の仮想空間で閉じているわけですから、コモングラウンドによって、現実世界と双方向性にすることが可能になるのです。  

 目の前のテーブルを例にとれば、人はテーブルを見ればテーブルと認識しますが、ロボットは情報がなければテーブルとは認識できません。しかし、カメラやセンサーによって情報を活用できるようになれば、テーブルとわかるのです。  

 仮想空間を広げ、現実空間と結びつけることによって、電動車いすを安全に走行させる技術を開発した日立製作所がその一例。壁や天井に取り付けられたカメラやセンサーが人や電動車いすの位置を把握し、仮想空間で再現するというもの。つまり、仮想空間上でルートを示すと電動車いすがそれに従って室内を走行する仕組みなのです。 

 コモングラウンドを支えるのがソフトウェアを意味するゲームエンジン。約40年にわたって蓄積してきたノウハウをコモングラウンドに応用し、都市開発につなごうしているのです。豊田氏らの構想は、データをゲームエンジンで処理し、カメラやセンサーがないロボットでも人と同じ空間で活動できるようにするというもの。

 世界を見渡せば、カナダ・トロントでは、センサーがヒト・モノの動きを把握、ビッグデータで管理する実験都市を計画しました。中国では電子関連の最大手・アリババ集団が道路交通情報をAIで分析し、渋滞緩和を実現するなど、スマートシティづくりを展開しようとしています。日本の場合、複数の企業が連携すれば、スマートシティをつくれる技術力と資金力があると考えられています。その意味で、大阪・関西万博が絶好のチャンスと言えるのかもしれません。