校長ブログ

スマホ依存

2022.11.23 トレンド情報
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 ゲームやSNSといったスマホ上のネット環境が、若者を中心に深刻な影響を与えています。就寝時以外はオンラインゲームや動画視聴で、スマホを手放せなくなった、ゲームをしている時は勉強のプレッシャーを忘れられたが、やめられなくなったなど、スマホ依存は社会問題にまで発展しています。

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 世界のゲーム利用者は約30億を超えると言われており、オンラインなどのゲームに没頭する「ゲーム障害」が世界各国で問題視されています。WHO(世界保健機関)はこれらをギャンブルなどと並ぶ依存症として疾病分類に加えています。

 メタやグーグルなどのテック企業は、スマホ依存に対する自主規制を進めています。米国ではSNSの規制強化に向けた議論を活発化、ビジネスに波及し始めているようです。アップルはiPhoneに届く通知を一時的に制限できる機能、例えば、就寝中の通知を制限したり、アプリの使用時間などを把握できるスクリーンタイム機能を設けて使いすぎを防止するかも仕組みを作り上げています。メンタルヘルスを確保するデジタルウェルビーイングを提唱するグーグルは、利用時間を制限したり、一時的に利用不可にしたりする機能を設けています。

 中国は昨年、未成年者へのネットゲームサービスの提供を週末や祝日などに限定し、11時間までとするよう企業に指示しています。フランスは青少年保護に向けて、法律で小中学校などでのスマホ使用を禁止しました。一方、韓国はかつて16歳未満は午前0時を過ぎるとオンラインゲームにアクセスできなくする法律を施行しましたが、約10年で廃止しています。

 スマホ依存の解明に向け、KDDIはスマホから属性や位置、履歴などを収集し、脳のコンピューター断層撮影装置画像(CT)と合わせてAIで解析する研究を進めています。携帯電話も見直されています。「ノキア」ブランドの携帯端末を手がけるフィンランドのHMDグローバルは通話やメッセージ、音楽再生などに機能を絞った端末を発売しました。モバイルゲームでもディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する「モバゲー」では、18歳未満のコミュニケーション機能の制限、有料コンテンツへの課金額の上限を設定するなどして、過度な利用を防ぐ取り組みを進めています。

 枝川義邦氏(早稲田大理工学術院教授)は、スマホや多くのアプリが脳にとって魅力的であり、報酬系と呼ばれる回路を刺激するため簡単にはやめられなくなると指摘されています。また、樋口進氏(久里浜医療センター院長)は、自分自身をコントロールする力が弱い未成年が患者の7割を占めており、低年齢なほど依存リスクが高いと言及されています。対策としては、ユーザーの自主性もさることながら、より細かなソフト設計が不可欠になるのは自明のことなのです。