校長ブログ

道草を楽しむ

2022.12.14 EdTech教育
12月14日

 東京大学文学部4年生の中條麟太郎さんは、オンラインの教育プラットフォーム会社 LearnWizの代表取締役CEO。東大総長大賞を受賞され、人間と技術との関係性を研究するHCI(ヒューマン・コンピューター・インタラクション)分野の最重要国際会議で上位1%の論文に与えられるBest Paper Awardを獲得されるほどの逸材です。

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 中條さんは、高2の時、課題解決に向けたテクノロジー活用という志を立てます。高3の時、支援学校の生徒キャンプの責任者となり、その体験を通じて、テクノロジーを駆使して人を幸せにできるようになりたいと実感したとのこと。来年4月には会社を経営しながら大学院に進学するそうです。

 中條さんの会社のプラットフォームであるLearnWiz Oneは、オンライン授業で学生が書き込んだ意見を目にすることができ、評価が高い内容を容易に把握することができます。コロナ禍におけるオンライン授業は、チャット機能を使えば、対面授業以上に双方向性があると言われています。しかし、中條さんは、論点を時系列にまとめ、意見交換を通じてアクティブラーニングをオンラインで大規模に可能にしたいと考えています。

 例えば、健常者と障害者がともに学ぶインクルーシブ教育においては、コミュニケーションをする際、発言内容をパソコンに打ち込み、ディスプレーに映すと便利とシステム化しています。また、東大のオンライン授業を構築したメンバーである吉田塁氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)のもとで、授業のサポート学生として関わり、試行錯誤を繰り返し、LearnWiz Oneをローンチしています。

 今年7月には、経産省傘下の独立行政法人である情報処理推進機構(IPA)が支援する「未踏アドバンスト事業」に採択されています。この事業は「突出したIT能力」を持つ人材の発掘・育成を目的にしたものです。中條さんは、大学入学時は起業について考えていなかっようですが、お母さんの「道草を楽しみなさい」のお言葉をモットーに自らの夢の実現に向けて努力されています。