校長ブログ

日本語教育の重要性

2022.12.16 グローバル教育
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 文化庁の調査によると、外国人労働者やその家族が学べる日本語教室が不足しているそうです。教師も4割以上が東京に集中しており、地方では指導者不足に悩まされています。例えば、山形県、三重県は、教師1人当たりの生徒数が東京の約9倍。日本語の学習機会を目途とした日本語教育推進法が施行されて3年経ちますが、環境整備が進んでいない現状がクローズアップされます。

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 現在、コロナ禍での水際対策緩和で外国人労働者の増加が見込まれています。その意味で、インフラとなる日本語教育の充実は必須。日本語教育実態調査(文化庁)によれば、行政は日本語教室の全容を把握できておらず、結果、「空白地域」は全国の46%に及ぶそうです。北海道や沖縄など、4道県では8割以上の市区町村が空白地域。国は経費を一部負担し、教室の開設を促していますが、教師不足という課題もあります。

 全国で日本語を学ぶ方は約123千人おり、大学などに通う留学生が6割を占める一方、働きながら日本語教室に通う人が約48千人と推定されています。それに対し、ボランティアを除く教師の数は約4,900人おり、4割超が東京都に集中しています。

 一方、東京の生徒は全国の2割超であり、教師1人当たりの学習者数は5.2人にとどまっています。地域で見ると、教師1人当たりの生徒は外国人労働者が増えた山形が最多で49.2人、三重が48.2人となっています。内海由美子氏(山形大教授)は、大都市では日本語教室と他の仕事を兼務できるが、地方では難しく、生活が維持できないことを指摘されています。

「日本語教育を受ける機会の最大限の確保」を基本理念とした日本語教育推進法(2019)はじめ、文化庁による16言語に対応する動画、自治体によるリモートで教える講座など、様々な工夫がなされていますが、対面形式と比べると集中力を保持しずらいといった意見も聞かれます。

 真嶋潤子氏(大阪大名誉教授)は、求められる日本語力やコストについて十分な議論がなされていないこと、また、言葉の問題で誤解が生じ、人権侵害や失踪につながることなどを指摘し、行政や企業が学習機会を提供することが社会全体の利益になると述べられています。