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新コース立ち上げ特集㊴ーBasic English

2023.01.13 グローバル教育
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 かつて、イギリスの心理学者・言語学者であるチャールズ・ケイ・オグデンは、英文法を簡略化し、850語であらゆる事柄を表すことができるとし、Basic English(ベーシックイングリッシュ)という概念を提唱しました。BasicとはBritishAmericanScientificInternationalCommercialの頭文字です。

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 Basic Englishは、第二次大戦後、世界平和のためのコミュニケーション・ツールとして注目を集めました。つまり、国際的用途に有益な手段となったわけです。歴史的には、オグデンの提携者であるアイヴァー・リチャーズが中国の学校で活用し、近年では、ボイス・オブ・アメリカによるニュース放送用の英語や技術マニュアルの英語の単純化に影響を与えたと言われています。アジアで初級者向け語彙として使われている基本850語リストは、このBasic Englishから受け継がれたものです。現在、専門用語を使う工業英語などでも活用されています。

 オグデンは、英語を学習するのに7年は必要であるのに対し、Basic Englishは7週間で可能としています。ウィンストン・チャーチルは1944年、ハーバード大学での談話で国際語として使うことを推奨しています。

 850語とは、動作に関するもの(100語)、物事に関する一般的なもの(400語)、物事に関する視覚に訴えるもの(200語)、状態に関する一般的なもの(100語)、状態に関する相対するもの(50語)にグルーピングされます。

 確かに、850語あれば、日常会話はかなり深められますが、科学やビジネスなどの一般分野での100語と専門分野での50語を加え、1,000語まで発展しています。さらに、約350語の「国際的単語」も加味され、約1,350語が初級レベルに不可欠ということになっています。

 現在、英語版ウィキペディアで使われる語彙数は1,500語(850語+国際的単語350語+交易・経済・科学の一般分野のための300語)とされ、「BE 1500」と言われています。オグデンは、この1,500語を一般英語レベルに必要な2,000語に拡張するためのものとして提供し、この2,000語がどのような学習者も学ぶべきものと言われています。

 オグデンがつくった文法ルールとしては、以下のようなものがありますが、すべて中高で学ぶ基礎的なものばかり。必要最低限の単語を長期記憶に保存し、中高の学習英文法の基礎がマスターできれば、ある程度のコミュニケーション力を養えるということです。

・名詞の終わりに s をつけることで、複数になるが、es ies を使うこともある。
150の形容詞のそれぞれを変えるには、2つの語尾er est がある。
・動詞の語尾を変えるには、ing ed の2つがある。
・形容詞にly をつけると副詞になる。
・量について表現したいときはmore most を使えばよい。er est も覚えて使うこと。
・形容詞に un をつけると、反対の意味になる。
Do をつけて、単語の順番を逆にすると、疑問文になる。
2つの名詞、あるいは、名詞と指示語を組み合わせて、複合語をつくる。
・数字、年月日、時刻、国際語は英語の形式を使う。