校長ブログ

消滅可能性都市と小1の壁

2023.01.27 トレンド情報
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 少子化が進む中、自治体は子育て世代に選ばれる街づくりに向けて、女性の就労支援やテレワークの環境整備といったワークライフバランスに着目しています。

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 例えば、「女性にやさしいまちづくり」を重点事業に掲げる東京都豊島区は、保育所の入りやすさや待機児童ゼロを目途に、子育ての悩みを保育園に相談できる「マイほいくえん」制度や妊娠から就学期までを同じ保健師が担当する支援制度などを設置しています。また、起業を目指す女性を支援するプロジェクトを立ち上げ、働く場を増やす取り組みも進めています。

 このような積極姿勢は、日本創成会議が公表した「消滅可能性都市」において東京23区で唯一挙げられたことが発端となっています。新たな子育て世代を呼び込むことをねらいとして取り組んだ成果が実を結び、2030歳代の女性人口(2021)は、1999年度と比較しても約8,800人増加しています。

 出生数が80万人を割り込む可能性が濃厚となり、少子化のペースは想定以上。将来の需要予測など、不確定要素があるものの、定員未充足の保育所も少なからずあることから、均衡ある成長戦略をどのように考えるかが喫緊の課題です。

 厚労省によれば、共働きの家庭の小学生を放課後預かる学童保育に入れなかった児童が昨年、3年ぶりに増加し、約1万5千人になったそうです。コロナ禍の2021年は感染拡大で預け控えがあったものの、2022年は利用者が増え、入れない児童が増加。都道府県別では東京(3,456人)がトップ。学年別では4年生の待機児童が最多であり、全体の30%を占めています。共働き世帯の増加に対応する受け皿が追いついていないのです。学童保育を希望する児童数は139万人と過去最高となったものの、前年より4万人以上増加。施設数は200カ所減り、約26千カ所。夕刻、子どもを預ける場所がなく、親が就労を諦める現象を「小1の壁」と言いますが、施設整備の充実など、克服しなければならない事案があるのもまた事実なのです。