校長ブログ

新コース立ち上げ特集㊽-スピーキング

2023.03.04 グローバル教育
3月4日

 スピーキング活動は、正確さ(accuracy)に重きを置くもの、流暢さ(fluency)に重きを置くもの、そしてその中間にあたるものという3つのタイプに分けられます。それぞれ、①ドリル(drill)、②プロダクション(production)、③プラクティス(practice)と呼ばれます。

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 ①は形重視、正確かつスピーディーな模倣による反復練習を通じて、新出の文法や文型を含む文を再生できるようにする活動です。言語学習ではドリル練習は不可欠ですが、これは受け身的であり、機械的な作業になりがちなため、単純で容易なものにするなど、学習者が積極的に参加し、短時間で十分な練習量を確保できるよう工夫しなければなりません。

 ②は内容重視、到達度の高いクラスや学年で実施するのがふつうですが、学習の初期段階からでも動機付け(motivation)になるのでやり方次第では有効な手段になり得ます。

 ③はコミュニケーション重視を前提とするものの、活動に必要な語彙や表現は予め練習を積んでおくことが必須。①と②の橋渡しとも言えるものです。初級のレベルではこれがスムーズに行えるようになることが当面の目標となるでしょう。いずれにせよ、正確さと流暢さをバランスよく組み込むことが大切です。

 スピーキング活動は、① 自分が発言したい内容をまとめること(conceptualization)➡ ②言語化(formulation)➡ ③ 言葉を一時的に蓄える緩衡記憶(buffer)➡ ④ 音声化(articulation)➡ ⑤ 音声をモニターするフィードバック(self-monitoring)という5段階を経て実現されると言われます。それに加え、コミュニケーション力を豊かなものにするには、状況に応じて適切な表現を選択する社会言語学的能力(sociolinguistic competence)や談話的能力(discourse competence)、背景知識、論理的思考力などもブラッシュアップしなければなりません。

 学校では、学習者の到達度や目的に応じた場面を設定し、その中で適切な表現を用いた活動を体験させることでスピーキング能力の向上をはかります。生徒の学習に対する基本的な姿勢としては、日頃からコミュニケーションを図るために英語を用いる活動、つまり、メッセージを英語で相手に伝える取り組みを増やし、自然体の中で、流暢さとともに正確に英語を使いこなすスキルに習熟することが求められます。正確さとは、発音、語彙、語法、文法、ディスコース構成などを操作できるようになること。そして、教師の姿勢としては、コミュニケーションを円滑に行うための方法を気づかせた上で、適切なフィードバックを与えて自己調整学習できるようファシリテートすることが必須なのです。