校長ブログ

データを活用した授業改善

2023.04.28 EdTech教育
4月28

 文科省は、教員の経験則に頼る授業からの改善を目途に、デジタル端末に蓄積された児童・生徒の学習データを活用する指針を公表しました。

スクリーンショット 2023-04-27 18.54.15.png

 デジタル端末は公立小中学生の約900万人にすでに配布されており、2024年度までに公立高校の約200万人の生徒にも配備される予定。環境整備が整う中、現実的には、ビッグデータの情報を分析し、生かせる人財はそう多くはいないのが本当のところ。当然、外部機関との連携が求められます。指針には、端末に記録される学習状況やテストの結果などのデータについて、リーガルサポートが示されています。

 重要なのはデータを活用して質の向上を図ること。その意味で、現場での活用方法とビッグデータの分析方法がフォーカスされることになります。前者で言えば、例えば、テストにおける解答時間など、これまでなら正解か否かしかわかなかったことが端末では記録可能になることから理解度や苦手分野の克服の手段としての役割が期待されます。後者で言えば、生徒個々の学習状況と学力との相関や効果的な指導法まで開発できるというメリットがあります。

 教育委員会や学校においてビッグデータを分析できる人財には限度があり、具体的な活用法が課題となっています。今回の指針は、データを個人が識別できないよう加工した上で、大学や研究機関へ提供する手法を想定するとのこと。自治体が外部機関とどう連携できるかがポイントになります。

 兵庫県尼崎市は「尼崎市学びと育ち研究所」を設け、学力テストや健康診断といったデータを研究所に提供しています。具体的には、クラスサイズと学力との相関性に伴う授業改善、ライフスタイルがどう生活習慣病のリスクに結びつくのかといった分析を進めているそうです。また、情報管理体制として、安全性の高いサーバー上での管理を推奨し、アクセスできる権限を定め、使用する際には認証を求めるといった対策を示しています。

 これまで日本の学校では、スキルの高い教員のノウハウを継承しながら、指導法を構築してきた感があります。しかし、現在、教員の校務が重荷になり、若手を育成する時間がないといった声が聞かれるようになったのもまた事実。国立教育政策研究所などの調査(2020)によれば、生徒の発言量と理解度に相関は見られないものの、経験則と現実のギャップがあり、授業で発言する子どもほど熱心に学んでいるという見方も多くなっているのです。

 2024年度からデジタル教科書が導入されるなど、板書中心の一斉授業は転換点を迎えています。これから新たな指導法を求められる場面が増えることも想定され、文科省はデータから得られた知見を積み重ねる必要性を説いています。