校長ブログ

2023年の大学入試問題ー京都大の英語

2023.05.04 教科研究
5月4

 2023年度の京都大学の英語の入試問題(前期)の構成は、大問4題、ⅠとⅡの読解問題は英文和訳のみ、ⅢとⅣの英作文は和文英訳と条件英作(字数制限あり)でした。読解問題は、下線部和訳だけとなり、内容説明がなくなったのが特記事項。Ⅲは全文英訳でしたが、分量が減り、Ⅳは会話文の下線部にふさわしい英文を書く自由英作となりました。

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 注目すべき点は、読解問題がすべて英文和訳になったこと。(計6問)すべての設問が和訳になったのは2014年以来です。大問Ⅰはインターネットによる情報過多の時代、大問Ⅱは意識が主なテーマ。基礎的な語彙力に基づき、複雑な構造の英文を読み取り、適切な日本語で表す力が求められた点は従来型の形式と同じでした。一見、学習指導要領や大学入試改革の方向性とは異なるように見えますが、学問を志す大学生にとって、入学後、原書講読が研究に不可欠なものであるというメッセージになっていたことは疑う余地がありません。

 大問Ⅲは、「情けは人のためならず」という格言の意味を正確に英語で表現する問題でした。(この種の問題は2017年度の「生兵法は大怪我のもと」、2021年度の「転ばぬ先の杖」にも出題されています)文章全体を読み、「損得勘定で動く」「便宜を図る」「恩に報いる」「人の世の真理を突いた言葉」など、日本語の論理で書かれた文章の大意を的確に英語で表現する力が試されました。

 大問Ⅳは、white lies(罪のない、人を傷つけないためにつく嘘)について、ほとんどの人が嘘をついているとは思えない理由、white liesの具体例など、それが社会にとって必要な理由を英語で表現する問題でした。文脈論理を把握し、どのような内容を記述することが要求されているかをおさえた上で、英語で表現する力が求められています。2つの英作文問題の底流には、新学習指導要領の「思考-判断-表現」する力がどれくらいあるかをみることが散見されました。

 大学入試も取りたい生徒像によって作問ポリシーが多様化しています。3年目となった大学入学共通テストも同様。かつての大学入試センター試験と比べると、英文量が大幅に増加し、テーマに対する複眼的視点となる資料やデータなどを的確に読み取る情報処理能力が求められています。知識偏重を廃し、学んだ知識を活用し、「主体的・対話的で深い学び」は言い方は違っても以前から言われてきたことです。入試問題も不易流行。変えてはならないものと変えなければならない設問があります。時代の変遷と共に、入試問題も変容していきます。本校では本質を見極める力の育成に主眼を置いた教育実践を展開していきたく思います。