校長ブログ

中学入試事情-東京との比較

2023.05.03 入試情報
5月3日

 東京都の私立中学への進学率が大幅に上昇し、小6児童の25%、つまり、1/4にまで達しているそうです。少子化の影響で児童数の母集団が減少しているにもかかわらず、進学率が上昇している背景として、コロナ禍での対応が挙げられるというのが業界の見方。今年の受験生は、コロナ禍初年度の2020年度に小学校3年生であった世代です。結果、東京都が私立中学進学者に対して、年間10万円の支援金が出せるよう調整中との報道があったくらいです。

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 一方、関西の私立中学入試の受験者の動向を見ても、東京ほどではないにしても入学者が最も多い統一入試日にあたる1月の第3土曜日午前入試は14年ぶりの10%台に改善し、コロナ前の状態に戻りつつあることが学習塾や教育関連企業によって指摘されています。つまり、関西では小6児童の10人に1人が私立中学に進学しているということになります。全体的には、到達度が高い、いわゆる"難関"と言われる学校の受験生が増加し、ボリュームゾーンと言われる中間層に変化がなく、到達度が低い学校の受験生は微増と言われています。また、グローバル化や小学校における英語の教科化に伴い、英語の資格加点なども増加し、DX化を反映してか、今やWeb出願が主流となっています。

 東京都の場合、私立高校への進学率は5割ほどであり、年収制限はあるものの、平均授業料分の就学支援金が支払われています。今後、私立中学にどれくらいの児童が進学するかわかりませんが、保護者は負担があっても私立を選択しているという現状があります。仮にそれが増加し続けていくとすれば、年間での補助があってもしかるべきと考えるのがふつうではないでしょうか。私学の場合、実情に合う募集をしていますが、学則定員で見ればさらに多くの生徒を受け入れ可能な学校が多いのもまた事実。東京の受験市場のトレンドは関西に確実に伝播します。その意味で、増加の兆しが見える以上、改めて私立中学へ進学する環境について精査する必要があると思います。