校長ブログ

放課後の学びや体験の場

2023.05.22 トレンド情報
5月22

 教育政策の一つとして、小学生の放課後の充実が取り上げられています。学童保育の不足に加え、保護者が働いているかどうかという以上に、すべての児童に放課後の居場所や活動の場を提供することが求められているのです。

DSC00791.JPG

 事例となるのが千葉市。放課後の居場所づくりとして、2030年までに、希望する小学校児童が学びや体験活動に参加できる「アフタースクール」を107ある小学校の9割に当たる98校に設置するという方針を打ち出しています。

 課題は活動スペースでしたが、図書室などの特別教室や多目的室を活用するなど、工夫しています。アフタースクールは基本的には毎日開催され、誰でも参加できるのが利点。友達と遊んだり、宿題をしたりと自由な過ごし方ができるだけでなく、週12回の頻度で学習や体験活動のプログラムを実施されているのがメリット。学年を超えた交流ができるなどの相乗効果もあります。

 国の政策としては、こども家庭庁の学童保育(放課後児童クラブ)と文科省の放課後子供教室があります。前者は共働き家庭の子どもなどに家庭に代わる居場所を提供する福祉の一環。一方、後者は地域の人が中心となって子どもが参加できる体験活動や学びの場をつくるのが目的となっています。政府はこの2つの場の一体運営を進めていますが、縦割り行政の壁もあるのもまた事実。アフタースクールは2つの場を一体化する試みであり、千葉市に加え、兵庫県南あわじ市、横浜市、東京都品川区も一体化を進めています。

 子どもを取り巻く環境が変化しています。近年、安全・安心に遊べる場が減っている以上、放課後の場の確保が必要になります。東京都三鷹市は、「学校3部制」という構想を掲げ、第1部は学校教育、第2部は放課後の学びや遊びの場、第3部は生涯学習、スポーツなど大人の学びや集いの場とし、時間帯ごとに異なる世代が活動し施設を最大限に活用しています。放課後活動の場の充実させることは、習い事の有無から生じる教育格差の是正にもつながります。

 子供が子供らしく成長していくには自分らしくあれる場所で友達と遊び、コミュニケーション力を高め、学力以外の持ち味を伸ばすことで自己肯定感を育むことが一番。子供一人ひとりのウェルビーイング(心身の幸福)が実現するよう大人にできることをやっていきたいものです。