校長ブログ

日本の高校生気質

2023.08.14 トレンド情報
8月14

 日米中韓4カ国の高校生の進路と職業意識に関する国際比較調査( 国立青少年教育振興機構、2022.92023.1)によると、日本の高校生は安定性を重視、転職や起業マインドなど、チャレンジ精神を歓迎する経済界の期待とは隔たりがあることが明らかになりました。

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 調査対象は日本約4,800人、中国約3,800人、米韓は各1,800人。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」と思う割合は米中韓が67割であるのに対し、日本は8割を超えています。また、仕事以上に趣味や自由な時間を大切にしたいと考える割合も8割を超え、過去最高です。安定した生活を求める日本人高校生の現代気質は、ワークライフバランスを重視する時代の潮流とマッチするものになっており、米中韓とも類似しています。

 仕事は「生活のため」が圧倒的に多く、「やりがい」や「社会人としての義務」が続きます。起業マインドとなる「自分の会社や店をつくりたい」は米中韓よりはるかに低くなっています。(8.5%)また、やりたい職種でなくても我慢して働くべきと考える割合は約3割、米中韓を下回っています。

 日本の高校生はテクノロジーの変化をチャンスと捉え、自己肯定感を高める意識が低いのかもしれません。しかし、転職や起業を活発化する世界基準の成長戦略に対応していくためには、学び直しができる、社会を変えられるといったマインドを育成するキャリア教育が重要と言われています。

 そのためには、学校と社会のつながりを深め、生徒が職業に触れる機会を増やしていくことが必須。しかし、職場見学やインターンシップなど、自発性や主体性を高める取り組みを経験したことがある高校生は1割前後しかおらず、24割の米中韓に比べかなり少ない状況です。ちなみに、ボランティア活動については、米中韓が35割あるのに対し、日本は2割未満と最下位です。

 本校でも友松会(同窓会)の支援で、広報部とデータサイエンス部がOGのお店を訪問、様々な体験や先輩方にインタビューする機会をいただいています。卒業生の活躍する姿を目の当たりにすることはモチベーション向上につながることは言うまでもありません。労働市場が変化し、AIの発達に伴い、生き方も多様化している中、社会で活躍する大人と出会うことでヒントを見出し、ロールモデルをつくっていくことが一生の財産になるのです。