校長ブログ

これからの大学の姿

2023.08.23 大学進学研究
8月23

 文科省の推計によると、大学への入学者数は2040年に51万人、2050年に49万人になるとの見込みです。少子化の影響は厳しく、2022年を13万人下回り、定員が現状のままだと2割分が埋まらないそうです。大学に求められるのは、定員削減だけでなく、学生の質を高める教育改革であることは言うまでもありません。

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 2022年春の入学者が定員割れした私立大学は284校、割合にしては47.5%です。(日本私立学校振興・共済事業団)現在、私立大学は約600ありますが、授業料や入学金が収入の7割を占めるため、半数が定員を割る状態です。特に、女子大は厳しい状態となっています。

 18歳人口に進学率を掛け、外国人留学生らを足して算出すると2022年に63万人だった入学者は2040年以降、2割減の49万~51万人に減少するとのこと。国立社会保障・人口問題研究所)全国には大学が約800あり、入学定員は62万人、定員充足率が101%だったものが、大学の定員規模が今のままだと2040年以降は80%前後に落ちこむと考えられています。

 そうなると、学力不問と言われるような入試や極端な学費値下げといった学生集めが広がりかねません。結果、選抜方法の劣化や資金不足による環境悪化は教育の質を低下させ、引いては、国際的な競争力の衰退につながることが懸念されます。再編したとしても大学の教育力を高めなければ国全体の力が衰えます。当然、AI、グローバル、環境といった成長分野をキーワードにした産官学協働による教育や研究を進めることが必須です。

 例えば、滋賀大ではデータサイエンス学部を2017年に設置して以来、企業との連携を進め、志願倍率を上げることに成功しています。和歌山県では県立医科大学の薬学部などの公共施設跡を活用した「まちなか大学誘致」が進められています。

 注目に値するのは、地元大学に進む割合が過去50年で最高(44%)となった石川県。自治体が地元大学への進学を促す取り組みを進めています。2022年度の地元進学率は東京都や大阪府に次いで大学数が多く、地元志向が強い愛知県の71.6%がトップ。

 石川県は県内の大学を振興する部署を作り、高校生対象の進学説明会を開くだけでなく、「出張オープンキャンパス」として大学教員の模擬授業も実施し、県内大学の魅力を発信しています。「県内大学の学びの充実」に向けて、単位を相互認定も可。若者の県外流出の歯止めに向けて、県内企業が職業体験を望む学生を迎える「いしかわインターンシップ」を進めています。

 全国の大学生・大学院生に対し、マイナビが実施した調査によると、地元から離れた大学生が故郷での就職を望む割合は約3割。一方、地元の大学に進んだ学生では7割を上回るとのこと。要はやり方が問われているのです。