校長ブログ

使える英語

2023.09.08 グローバル教育
9月8日

 2023年度の全国学力・学習状況調査における中3の英語で話す力の正答率が12.4%となっています。(文科省)前回調査の4年前と比べても18.4ポイント下がる格好です。生徒の6割が0点というのが現実であり、自分の考えを英語で表現するのが苦手ということが明確になりました。

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 小学校で英語が教科化され、中学は2021年度から英語で授業を行うなど、学校現場では英語を使う環境が整いつつあります。しかし、ALT(外国語指導助手)の配置に温度差が生じるなど、文科省は財政支援の拡充も含めてサポート体制を強化する方向です。

 今回の調査では、2021年度から実施された学習指導要領におけるコミュニケーション・ツールとしての英語の位置づけが強調される設問が多く見られました。前回はイラスト内容を短文で答える問題が目立ちましたが、今回は会話形式が増加、話す力や聞く力を測定する問題が出題されています。

 結果として、「聞く」と「読む」の正答率が56割であるのに対し、「話す」は12%と低水準。その中で、外国人留学生のプレゼンテーションを聞き、自分の考えを30秒で説明する問題の正答率は4.2%であり、無回答率が18.8%でした。特記事項は、話す内容が浮かんでも表現が分からない生徒が41.1%を占めているということ。「話す」テストは今回が2回目であり、生徒は自ら学習用端末を用いて音声データをオンラインで送信して解答しています。設問は5問でしたが、1問もできなかった生徒が63.1%です。

 しかし、設問の場面設定が難しく、自分の意見を表現しにくい問題が多かったこともあり、単に英語力が低いとは言いにくいという指摘もあります。また、話す授業に偏りすぎて英語でのやり取りが十分になされておらず、4技能のバランスに欠けるのではないかと考える専門家もいます。

 「質問紙調査」における即興でのやりとりや意見を述べ合ったりする言語活動を行っている中学校は65.6%2019)から76.8%に増加しているものの、生徒の受け止め方は63.0%(2019)から63.8%で推移し、意識の違いが浮き彫りになっています。生徒目線で言えば、テキストの難易度が上がり、語彙数も増え、日常的な話題に寄せて説明するのがより難しくなっているという実態もあるのです。現在、文科省は、対話型AIを活用して英語力の底上げを図ることを模索しており、実証事業を始めることが決まっています。