校長ブログ

海の異常高温

2023.10.05 トレンド情報
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 世界の海が地球温暖化の影響で異常に温まっています。米海洋大気局(NOAA)によれば、世界の海面の約半分が8月、異常高温に陥ったそうです。特に高温なのは、東日本の太平洋沖など。海面の平均水温は1991年以降、最高を更新し、気象や生態系への影響が懸念されています。  

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 海域の水温が平年を大きく上回る現象を「海洋熱波」と言いますが、世界の海域の約48%がその状態にあり、20242月まで50%近くで高止まりすると予測されています。海洋熱波の要因としては、地球温暖化が挙げられますが、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、海洋熱波は1980年代以降に倍増し、勢力も強まり、さらに、期間も長くなっているそうです。

「コペルニクス気候変動サービス」(EU)によれば、728日に平均海水温が20.95度で過去最高を更新、8月に入ってさらに更新、22日には21.0度に達したそうです。例年なら3月にはピークを向かえるものの、5月以降も上がり続けているとのこと。ふつうなら海が大気に蓄えられた熱の9割を吸収しますが、記録的な熱波が世界中で起きており、海水温の上昇がまだ続くと見込まれています。

 太平洋赤道の東部ではエルニーニョが発生、海水温が上がりました。南米西海岸では約24度、北大西洋や地中海でも約25度高くなっています。日本では東北地方の太平洋沖で海水温が約26度高くなり、平年との差が広がっているようです。

 海洋熱波は人間の活動による温暖化がその要因と考えられていますが、魚や鳥の大量死に加えて、赤潮などが起こりやすくなり、結果、毎年、数十億ドル(数千億円)の損失が生じていると考えられています。

 日本では、東北沖では海洋熱波が毎年のように発生、水温上昇によって、冷たい水を好むサケやサンマが激減し、環境の悪化に伴い、スルメイカの漁獲量も落ち込みました。生態系への影響も大きく、米国では、フロリダのサンゴが内部の藻類が失われ栄養が取れなくなり、白化、死んでしまうことが懸念されるなど、海洋熱波でエサとなる魚が減り、ウミドリが餓死しました。さらに、水温の高い海域ではハリケーンなどの熱帯低気圧が発達しやすくなります。

 温暖化ガスの排出を削減のための取り組みが不可欠であることは言うまでもありません。エネルギーの節約、リサイクルとゴミの削減、持続可能な交通手段の利用など、身の回りのできることから始めていきたいものです。