校長ブログ

未婚率と年収格差

2023.10.20 トレンド情報
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 所得の増加に力点を置き、経済状況を分析した経済財政白書(2023)が公表されました。物価や賃金の上昇によって、長く続いたデフレからの脱却が近づいています。

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 日本の少子化については、「三重の要因」として、① 女性人口の減少、② 非婚化の進行、③ 夫婦の出生率の低下が挙げられています。②の背景としては、賃金水準の低さや男女の賃金格差の影響が指摘されています。

 就業構造基本調査(総務省、2022)に基づくと、30代男性の場合、所得が低いほど未婚率が高くなっています。所得が低くなるほど未婚率が上がり、年収800万円以上で17.3%600万~700万円台で21.4%であるのに対し、200万円台で64.7%100万円台で76.3%となっています。

 所得階層によって最大4倍超の差が出ており、この傾向は以前の調査でも見られたとのこと。構造的な賃上げを実現し、若年層の所得を向上させることが結婚を増やすことになります。白書では、結婚時に夫に高い年収を求める傾向があり、共働きが増えても実態としては、子育てや家事の負担は女性に偏りがちであることが明示されています。

 所得の多い女性がさらに高い年収の男性を結婚相手に求める傾向もあるとか...1,000万~1,499万円で子供がいない女性の場合、夫より年収が多い割合は33%。また、収入が同レベルの男性の96%は妻より年収が高いそうです。

 所得を底上げし、男女の賃金差を縮めることが結婚につながると考えられています。白書は出産後の女性の所得減を抑えることが結婚相手に求める年収の低下につながり、結婚へのハードルを低くすると言及しています。