校長ブログ

日本の人口減

2023.11.08 トレンド情報
11月8日

 少子高齢化が進み、日本は労働力不足や経済の停滞など、様々な問題に直面していますが、人口減という危機をどのように克服するかが注目されています。

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「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)によれば、現在の総人口である約12,600万人が50年後には、7割に相当する約8,700万人に減り、65歳以上がほぼ4割を占める社会が誕生するとのこと。減少ペースは加速しており、世界でも最速の高齢化となっています。

 河合雅司著『未来の年表』には、2033年、住宅の3戸に1戸が空き家になり、2040年には社会が縮小していくことが描かれています。河野稠果著『人口学への招待』には、人口減によって国力が低下すること、そして、それに伴い、世界での経済力、政治力を維持できるかどうかは未知数と述べられています。

 政府は出生率低下を抑えるべく「異次元の子育て支援」やこども家庭庁の設置など、対策を講じています。背景にあるのは、明治以降の人口過剰。歴史をひもとけば、工業化に合わせた人口増は国力増強につながるとされましたが、1920年代から30年代にかけて人口が激増すると失業や生活難の原因と考えられるようになりました。大正時代は、日本の人口は約8,540万人となり、中国・アメリカ・ソ連・ドイツに次ぐ世界第五位の人口大国になったのです。

 人口過剰対策として、産児制限論争が起き、海外移住が促され、大陸に開拓団を送ることになります。20世紀後半の「少産少死」の時代に変容、これは英米や欧州、日本へと広がり、結果、少子高齢化をむかえます。

 吉川洋氏(東大名誉教授)は、悲観的にならず、製品やサービスを生む「プロダクト・イノベーション」を促し、日本経済の力を伸ばすべきだと言われています。人口減を時代の流れ、逆らうことはできませんが、先を見越して先手を打つのが大人の役割です。