校長ブログ

量子力学

2023.12.21 教科研究
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 量子力学とは、ミクロな世界の振る舞いを記述する分野ですが、そこには常識を超えた現象があり、その一つである「量子もつれ」を駆使して、通信の秘密を守る実験に成功したとのこと。結果、たとえ、第三者に設定を変えられても盗聴されない安全性が確保される可能性が期待できるそうです。

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 量子もつれとは、物体の性質を表す値が測定の瞬間に現れるという量子力学の不思議さを示す現象のこと。「ベルの不等式」は、この見方が正しいかどうかを実験で答を出す基準となり、多くの科学者が実験を行い、裏付けに成功しています。

 情報社会の中、ネットで情報を送信するには暗号が必要な場合が多々あります。送信者と受信者のみが共有することができれば、情報を暗号化して送ったり、元の情報に戻したりことができるわけです。これが「暗号鍵」と言われるもの。

 暗号鍵はスパコンを使うと、膨大な時間がかかっても守秘義務は守れますが、それでもハッカーに解読されるリスクは拭い去れません。しかし、量子暗号を使えば、暗号鍵の安全性を確認するため、解読される恐れはかなり軽減されるそうです。量子もつれを使う量子暗号はそうしたリスクを回避でき、さらに高い安全性があることがわかっています。

 量子もつれになった光子のペアには特性があり、その偏光は元々、光子に備わっているのではなく、一方の光子の偏光を測ってその向きが見えた瞬間、もう一方の偏光がそれと直角の方向に定まると考えられています。量子もつれ暗号はこの性質を利用し、送信者と受信者に1つずつ送信し、それぞれが2つのフィルターのうち1つを選んで偏光の向きを測り、その向きを信号に変換し、暗号鍵にします。しかし、もし第三者がどこかで光子の偏光を測定すれば量子もつれは崩れてしまいます。盗聴がないことを確認するには、2つの光子がきちんと量子もつれになっていることを確認する必要があるのです。

 そこで活躍するのがベルの不等式。量子もつれはかつて本当に存在するのかどうか調べようがないと考えられていました。しかし、ジョン・ベルが量子もつれの特性を実験で検証する方法を発見。ABの測定結果を統計処理した値がベルの不等式が示す上限を超えれば、量子もつれが実証されます。誰かが光子の偏光を盗み見た場合は、測定結果が上限値を超えないので確実にそれが分かるのです。その場合、光子を送り直し、量子もつれを確認したうえで暗号鍵として使うのです。

 そうすれば、誰かが光子発生装置をハッキングして光子の状態を操作したり、受信装置に細工をしたりしても高い安全性を保てます。装置の中がどうなっていようと関係なく、利用者が量子もつれを十分な精度で確認できさえすれば、安全な暗号鍵を作り出せるそうす。現在の段階では通信速度が遅く、原理を実証したにすぎません。量子もつれの光子を複数の拠点に送って量子コンピューターを結び、大規模な計算を実行する量子インターネットが実現するかもしれないのです。