校長ブログ

他者との交流ー協働的な学びに向けてー

2024.04.20 学校生活
4月20

 大学に進学した後、取り組んでおいた方がよいことは何ですかという質問を受けることがよくあります。学ぶことや生きることと向き合う生徒たちの問題意識が伝わってきます。

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 このような質問には、答を期待しているマニュアル頼みの現代の生徒の気質が見え隠れしますが、大丈夫と言えるものなどありません。

 しかし、あえて言うなら、グローバル時代、世界には多様な価値観や世界観があるということが大前提。本校でも関西国際大学でもそうですが、今、中高や大学には海外ルーツの生徒や学生がたくさんいます。気の合う仲間だけでなく、違う学年や学部の学生とも積極的に交流し、多様性を認め、コミュニケーションを通じて、「自分」という存在に気づくきっかけをつくることが学生ならではの特権ではないでしょうか?

 別の質問に、文理融合の学びが大切と言われていますが、具体的にどのように実践すればよいのですかという声もあります。まずは、自分の専攻分野をしっかり学ぶことが基本。その上で、卒業論文に備え、課題を発見し、問いを立て、背景知識を蓄え、ディスカッションを通じて、協働的的な学びを実践した上で、自分の言葉で自己表現する力を鍛えること。そして、専攻以外の分野にも興味・関心を広げる姿勢をもつことが重要です。

 例えば、文系学生が自分の専攻分野をAIや地球環境をテーマにした内容とからめて探究したり、理系学生が現代につながる因果関係を知るために、世界史や日本史の知識を駆使して、研究テーマに取り組むと精度を高めることができます。歴史といっても大学受験対策として学ぶ歴史とは異なりますから面白みも湧くというものです。歴史を学ぶことは先達の教訓を学ぶこと。過去、多くの人たちが歴史を学ばなかったために失敗を繰り返してきました。大切なのは、暗記だけでなく自分の頭で考えること、これが文理融合につながるのです。

 また、新たなことにチャレンジするきっかけがなかなか見つからないという相談もよくあります。アドバイスしてくれる方がいればよいのでしょうが、助言者がいなくてもとにかく興味・関心のあることから始めるチャレンジ精神が大切です。ボランティア活動などはいかがでしょうか?世代の異なる人との交流は大きな刺激になるはずです。

 内向き、経済的なこととも相まって、減っていると言われる留学についてもよく出る質問です。語学力を高めることは当然のこと、訪問したいと思っている国の文化や歴史などを勉強することが第一歩。併せて、海外では日本のことを尋ねられる機会が増えるのは至極当然のことですから日本文化を発信していく意味でも、自分の口でしっかりと説明できるようにしておくことが肝要です。